『Empowered(エンパワード)』(2020年)は、平凡な人々が非凡な製品を生み出すための指南書です。消費者に愛される、収益性の高い製品を生み出す方法を発見してください!
本書から得られるもの──5つの基本技術で人生を変える製品を生み出す
優れた製品なくして、優れた企業は存在しません。プロダクトリーダーとして、あなたはすでにこの真理を受け入れているでしょうか。もしそうでなければ、今こそこの理念を日々の仕事に刻み込む時です。プロダクトマネジメント、デザイン、エンジニアリングのいずれか、あるいはそのすべてを担当しているかに関わらず。世の中の多くの企業は、時代遅れの働き方を続けているために、強力な製品を生み出せていません。
多くの場合、この状況の主な原因は強力なプロダクトチームの不在です。卓越した製品を戦略化し届けるには、そのようなチームが不可欠です。旧来のトップダウンの働き方から脱却すべきだと分かっていながら、どう進めればいいか分からない企業は少なくありません。結局のところ、これほどの規模の変革を成し遂げるのは非常に難しいのです。しかし、そこでつまずく企業がある一方で、より強い企業はその挑戦を受け入れます。誰もが知るテクノロジー大手のAppleを例に挙げてみましょう。
同社には、収益性を維持しながら顧客ニーズに応えて問題を解決するための、強力なプロダクトディスカバリー技術を一貫して実践する優れたプロダクトの達人たちがいます。1つ言えるのは、次のスティーブ・ジョブズになる必要はないということ。あなたはあなたのままでいいのです。ただし、優れた製品で世界にインスピレーションを与えたいという、同じくらい巨大な欲求を持ち続けることが大切です。さらに重要なのは、プロダクトチームに同じビジョンで走るよう動機づけることです。
この要約では、強力なプロダクトチームの人員配置、コーチング、リードの方法、ビジョン主導のチームトポロジーの確立方法、最適なチーム目標でプロダクト戦略を強化する方法、そしてプロダクト活動を収益性に結びつける方法を解説します。かなり盛りだくさんなので、早速始めましょう。強力なプロダクトリーダーは、チームメンバーが後に続く前に、まず自らが前面に立つ必要があります。
優れた製品は、強力なリーダーから始まる
ですから、リーダーシップから始めるのが最適です。優れたプロダクトリーダーシップの根底にあるのは、確固としたコーチングのマインドセットです。それがなければ、成功する製品を生み出し届けるためにプロダクトチームを真に鼓舞することはできません。しかし、知恵の言葉をかけるメンターであるだけでは不十分です。
また、チームの究極の可能性を引き出すために、自ら袖をまくり上げることを恐れない真のコーチであることも必要です。Apple、Amazon、Google、Netflixに共通するものは何でしょう。1つの名前に行き着きます。ビル・キャンベルです。伝説的なコーチである故キャンベルは、これらの企業の創業者やシリコンバレーの多くのテクノロジーリーダーを指導しました。彼は、優れたリーダーは他者の偉大さを認めることができ、その力量はコーチング能力にしか測られないと断言しました。では、優れた製品につながるコーチングマインドセットを磨くにはどうすればいいのでしょうか。
まず、チームメンバー全員との1on1ミーティングを、タスクの割り当てではなく成果に焦点を当てる場として活用しましょう。この時間を、チーム内に目的重視の仕事観を育むために活かすのです。最近、製品イノベーションの不足に気づきましたか?定例の1on1でマネージャー、デザイナー、エンジニアと話し、困難な状況でも何が彼らを役割に駆り立てているのかを尋ねてみましょう。別の言い方をすれば、優れた製品を届けるには、傭兵ではなく宣教師が必要なのです。信頼を維持できなければ、コーチングの努力も無駄になります。
マイクロマネジメントの誘惑はすべて避けましょう。公の場で褒め、批判は内々に行うことで信頼を強めます。同時に、チームの間違いは発生したその場で正すことをためらわないでください。それは、信頼できるリーダーとしてあなたが分かっている証拠になります。自信を持ってプロダクトチームを率いられないなら、謙虚になり、その責任を別の経験豊富なリーダーに委ねつつ、自分自身もこの分野のスキルアップに励みましょう。優れたリーダーになるための条件が分かったところで、今度は優れたプロダクトチームを編成する時です。次のセクションで、優れた人員配置戦略の基本を学びましょう。
プロダクトリーダーは、強力なプロダクトチームなくして無力である
強力なプロダクトチームこそ、優れた製品の源泉です。プロダクトリーダーとして、エンパワーメントを念頭に置きながら、適切なチームメンバーを配置し、引き留めるべきです。人員配置プロセスにはいくつかの重要な段階がありますが、最も重要なのは採用、雇用、オンボーディング、そして年次評価です。世界最高の企業は、単に能力やカルチャーフィットで適切な人材を採用するだけではありません。
彼らは人柄を見て採用し、卓越した成果を上げる人材へと育つよう粘り強くエンパワーします。あなたも同じことができます。優秀な人材が集まるネットワーキングイベントに積極的に参加して、際立った人柄の人にアプローチしましょう。また、この作業を外部に委託せず、自分自身で候補者をスクリーニングすることも大切です。面接段階では、優秀な候補者を見つけたら素早く動く必要があります。価値ある候補者を「未読」のまま放置してはいけません。同時に、本当に適切な人を見つけたか確認することも賢明です。
推薦者に確認を取り、ソーシャルメディアで憎悪に満ちたツイートや投稿などの危険信号がないかもチェックしましょう。適切なチームメンバーを雇ったら、時々彼らの様子を確認することを忘れないでください。この継続的な作業のためにチェックポイントを設けましょう。初日、1週間後、1か月後、初任給の支給日、そして60日後などです。こうした節目を利用すれば、進捗をよりスムーズに見守ることができます。継続的な確認を行うことで、年次評価の冗長さも軽減できます。あなたは、すべてのフィードバックをその年の評価面談まで取っておくタイプのマネージャーですか?
もしそうなら、スタイルを変えてみましょう。代わりに、定例の1on1を主要なフィードバックの場として活用するのです。そうすれば、年次評価の場は、拡大された機会や観察事項についてのより高度な議論に使えます。適切なプロダクトチームがあれば、正しいプロダクトビジョンを確立し、それを使って理想のチームトポロジーを構築するのが容易になります。それについては次のセクションで見ていきます。
ビジョン主導のチームトポロジーこそ、優れた製品の基盤である
優れたプロダクトビジョンは、製品の独自のセールスポイントを際立たせることができます。機能の詳細だけを列挙する無味乾燥なプロダクトロードマップとは異なり、プロダクトチームが大きく夢を描く力になります。プロダクトビジョンは、顧客ニーズをどう満たすか、会社の組織的な目的をどう伝えるか、そして現実世界の問題を解決するトレンドやテクノロジーをどう活用するかを示すものでなければなりません。同時に、これらの要素を満たす適切なアーキテクチャを生み出すよう、エンジニアにも動機づける必要があります。
適切に策定されれば、プロダクトビジョンは社内の他のステークホルダーからの支持を得ることができます。技術的に詳細で指示的であってはいけません。それはプロダクト戦略の役割であり、それについては後ほど説明します。よく練られたプロダクトビジョンは、チームトポロジーの最適化にも役立ちます。優れたトポロジーは、すべてのプロダクトチームが共有できる意味のある共通目標を活用します。適切な共通目標は効果的なコラボレーションを促し、すべてのチームメンバーが優れた製品を発見し届ける力を与えます。会社が小規模であれば、プロダクトチームは1つしかないかもしれません。
この場合、トポロジーに関連する細かな問題は少ないでしょう。しかし、会社がより大きく複数のプロダクトチームがあるなら、効果的なトポロジーはますます必要になります。それを構築するには、チーム間の依存関係に影響されるあらゆる作業に影響を及ぼす要素間のトレードオフを効果的にバランスさせる必要があります。そうした要素には、プロダクトデザイン、報告体制、チームと事業拠点の物理的な近接性などが含まれます。トポロジーをさらに鉄壁なものにするには、3つの要素──オーナーシップ、自律性、アライメント──を惜しみなくチームに与える必要があります。バックエンドのイノベーションであれ、顧客向け体験であれ、チームメンバー全員が自分の担当する仕事に対して意味のあるオーナーシップを与えられているでしょうか。
プロダクトマネージャー、デザイナー、エンジニアは、自分たちが担当する問題の解決策を届ける上で、等しく自律性を持っているでしょうか。また、それらの解決策は、会社の事業目標、望ましい顧客満足度、技術的な熟練度と整合しているでしょうか。これらの問いへの答えが、プロダクトビジョンとチームトポロジーの質を明らかにします。最終的に、それらが連携して機能すれば、最適なプロダクト戦略の確立と実行がはるかに容易になります。自分には実用的なプロダクト戦略があると思っていても、実際にはそうではないと気づくかもしれません。
適切なプロダクト戦略が、最適なチーム目標を生む
なぜ正しく理解すべきなのかを理解するために、プロダクト戦略とは何か、何でないかを明確にしましょう。優れたプロダクト戦略は、解決すべき困難な課題を明確に示しながら、エンパワーされたプロダクトチームにそれらを解決する余地を与えます。しかし、その影響はチーム全体の回復力にとどまりません。優れた戦略は最終的に、チームが戦うべき戦いを賢く選び、正しい問題を解決するよう導きます。
プロダクト戦略はプロダクトディスカバリーやプロダクトデリバリーと同じではない、という点も重要です。プロダクトディスカバリーは、どの問題解決手法を使うべきかを明らかにするのに役立ちます。一方、プロダクトデリバリーは、製品を市場に投入するための適切なソリューションを構築するのに役立ちます。悪いプロダクト戦略には多くの兆候がありますが、次の2つが最も顕著です。第一に、プロダクトチームがプロダクトビジョンではなくプロダクトロードマップだけで作業していること。第二に、日々生み出される機能が、顧客が本当に愛する優れた収益性の高い製品に結実しないことです。
安心してください。優れたプロダクト戦略は確かに難しいですが、不可能ではありません。厳しくも実りあるリーダーシップの選択をする際に、焦点を研ぎ澄ませることで独自の戦略を生み出しましょう。次に、顧客フィードバックと多角的なデータ分析を通じて洞察を得て活用します。学びをチームメンバーと共有することも忘れないでください。洞察が得られたら、それを行動に移します。その際、マイクロマネジメントに陥ることなく、チームを継続的に見守りましょう。
最終的に、優れたプロダクト戦略は明確に定義されたチーム目標へとつながります。チームに自律的に問題を解決する余地を与えるという話を覚えていますか?実は、このエンパワーメントこそが、世界的に有名なOKR(Objectives and Key Results)手法の核心なのです。チーム目標の質を測定するツールとして、OKR手法には2つの原則があります。第一に、チームが責任を負う問題に対して、解決策を生み出し届ける余地を常に与えること。第二に、最善の決断を下し優れた仕事を生み出せるよう、適切な戦略的コンテキストを常に提供することです。
OKR手法を試してもうまくいかなかったなら、自己評価の誠実さを高めましょう。チームはプロダクトビジョンではなくプロダクトロードマップにとらわれていませんか。エンパワーされたプロダクトチームモデルへの移行に取り組んだでしょうか。それとも、既存の組織構造にOKRを単に重ね合わせただけでしょうか。さらに重要なのは、マネージャーを含むすべてのチームメンバーが、共有目標ではなく個人目標に集中していないかということです。明確に定義されたチーム目標がいかに重要か分かりますね。それらは、全メンバーが戦略を立てる際に一体感を保つためのパフォーマンスの羅針盤の役割を果たします。
真実は、エンパワーされたプロダクトマネージャー、デザイナー、エンジニアなら誰でも、目に見える高い誠実さのコミットメントを維持し、価値があり、実現可能で、使いやすく、実行可能なソリューションを届けることができるということです。秘訣は、チームメンバー個々の野心を、明確な共通ビジョンで満たし続けることです。では、永続的な成功のために、エンパワーされたプロダクト組織を会社全体とどう整合させるかを見ていきましょう。
全社的なコラボレーションのマインドセットが、最終的にビジネスの成功を導く
強力なプロダクトリーダーシップとチームダイナミクスが整いました。素晴らしい!しかし、待ってください。旅はここで終わりません。優れた製品を実現するためには、プロダクトの仕事を会社のビジネスゴールと意味のある形でつなげる必要があります。
つまり、それらの目標を担うすべての主要ステークホルダー、特にCEOとのコラボレーションを強化するということです。役員会のメンバーは、ビジネス成果、プロダクト戦略、プロダクトチームの3つの観点からあなたを評価すると考えてください。戦略レベルで現実的なビジネス成果を予測できれば、ステークホルダーに変化を受け入れてもらいやすくなります。最初に抵抗されたとしても、落ち込まないでください。彼らがコラボレーティブでエンパワーされたプロダクトチームモデルを受け入れることに同意するには、まずあなたを全面的に信頼する必要があります。支持をより容易に得るには、プロダクト戦略の策定段階にできるだけ早くステークホルダーを巻き込みましょう。
チームの頭の中からプロダクトビジョンを引き出し、説得力のあるプロダクトプロトタイプに落とし込んだら、すぐに全社へ発信しましょう。そうすることで、プロダクト主導の洞察と共有された学びへの理解を浸透させることができます。戦略開発プロセスがこれほど可視化されていれば、ステークホルダーはその原動力であるプロダクトチームをより良く見て、評価できるようになります。一方で、優れた製品でビジネスの成功をもたらすことは、気づいた場所や時点で未処理の問題を解決することでもあります。上級リーダーにプロダクトの仕事を支持してもらいたいですか?共有の場ごとに、成功を可能にするテクノロジーの役割を彼らに思い出させましょう。
新入社員の採用、オンボーディング、育成の際には、彼らに継続的に情報共有しましょう。ステークホルダーがエンパワーされた働き方のモデルにためらいを見せていませんか。ビジネスの一部の領域でそのモデルを試すことを提案してみましょう。旧来のやり方で運営した場合の費用と比較するために、すべての記録を保管しておきます。確固たる証拠を持つことがここでは鍵です。プロダクトチームのイノベーションギャップを埋めたいですか?
常にエンジニアのモチベーション向上とスキルアップに素早く取り組みましょう。彼らが活躍する場所では、デザイナーやマネージャーも後に続きます。コラボレーションがリーダーシップの手法に彩りを添えれば、世界があなたの会社を最高の資産──つまり、意味のある優れた製品──で認めるまで、そう時間はかからないでしょう。
まとめ
非凡な製品は、顧客ニーズとビジネスゴールを同時に満たすことで、現実世界の問題を解決できます。有意義なリーダーシップに鼓舞されたプロダクトチームがあれば、これらの製品を届ける道は明確です。エンパワーメントモデルを中心に据えることで、テクノロジー主導のすべてのプロダクト活動が、永続的なビジネス成功を確実にします。





