『Superhuman by Habit』(2014年)は、ポジティブで持続的な変化をもたらす習慣を身につけるためのシンプルなガイドです。著者自身のエピソードやよく知られた事例を交えながら、習慣の選び方・築き方を解説し、より健康で幸せな未来につながる身近な習慣をいくつか紹介しています。
この本の要点:ポジティブな習慣を身につけ、「超人的な自分」になろう
もし毒物の入ったドラム缶に落ちて超能力を手に入れるとしたら、どんな力がほしいだろう?敵のミサイルの軌道を変えられる怪力?壁のハエになれる透明化能力?それとも、やっぱり空を飛ぶ力だろうか?
超能力は魅力的に思える。でも残念ながら、それはテレビの中だけの話……だよね?
では、もし毒物のドラム缶に飛び込んだり、宇宙人の家系に生まれたりしなくても手に入れられる「超能力」があるとしたら?それは「習慣の力」だ。
本書では、習慣の選び方と築き方に関する簡単なコツを紹介し、あなたが「超人的な自分」になるお手伝いをしよう。
習慣の力
寝る前に無意識に歯を磨いていたり、朝目を開けた瞬間にスマホを手に取っていたりしないだろうか?パソコンが起動したとたんにメールをチェックしていないだろうか?思い当たるなら、習慣の力をすでに実感しているはずだ。
習慣とは、ほとんど無意識に行う行動のこと。考え込んだり、大きな努力を払ったりすることなく、自然にやってしまう。いちいちリマインドする必要もない。だから習慣は超能力のようなものだ。心身のエネルギーを消耗することなく、物事を成し遂げられるのだから。
自覚していないかもしれないが、あなたはすでにいくつもの習慣を持っている。ただし問題は、そのすべてが自分のためになっているとは限らないことだ。中にはあなたを迷わせ、目標から遠ざけているものもあるかもしれない。だからこそ、眠っている可能性を解き放ち、成長したいなら、新しくポジティブな習慣を築くことが不可欠なのだ。
しかし自己成長だけでなく、習慣づくりが重要な理由はもう一つある。意志力――自分にとって良いと思える行動をとるための燃料――には限りがある。意志力だけで乗り切れる範囲は知れており、目標達成にはほとんど不十分だ。
良い知らせは、習慣は意志力に依存しないということ。習慣が身につけば、難しい行動もやがて簡単になる。自動的になるから、無理に自分を奮い立たせる必要がなくなるのだ。そしてポジティブな習慣が増えれば増えるほど、意志力を消耗せずに目標へ大きく前進できる。
実は、いちばん難しいのは新しいポジティブな習慣を「選び」、それを「実行に移す」こと。でも、まさにこれからその方法を説明していこう。
習慣の選び方
新しい習慣を築くのは料理のようなものだ。コンロに火をつける前に、材料を選ばなければならない。同じように、習慣を実行する前に、それが何なのかを決める必要がある。
習慣を選ぶことは、自己改善の旅の最初の一歩だ。幸い、参考にできるポジティブな習慣はたくさんある。自力で成功した億万長者のお金の習慣から、教授やメンターの読書習慣まで。ただ、成功者のお気に入りの習慣を真似ることが有効な場合もあるが、最終的には自分に合った習慣を見つけて築くべきだ。その方法はいくつかある。
一つは、自分の弱点からヒントを得ること。最高のパフォーマンスを発揮できていない分野や、改善が必要な特定の領域を知っているなら、その弱点に対処する習慣を身につけられる。これがうまくいくためには、自分に厳しく正直になり、すべてにおいて完璧ではないと認める必要がある。そうして初めて、どの習慣をつくるべきかを的確に見極められる。
もう一つのヒントは、自分の優先事項を考えること。より健康的な生活を送ることがあなたにとって大切だろうか?それなら、その目標に向かって進むための習慣が必要になる。
本当にやる気になれるものを見つけることも、習慣を選ぶ有効なアプローチだ。習慣を築くのは決して簡単ではない。かなりの意欲と決意が必要になる。心に火をつけるような習慣を選べば、そのプロセスをぐっと楽にできる。
それでも習慣が決まらないなら、自分が「別にやりたいとは思っていないこと」に目を向けてみよう。たとえばあなたがバレエダンサーだとしよう。スキルを広げ、多様性を高めるために「書く」習慣を選ぶのも手だ。
どの習慣を選ぶにせよ、毎日できるものであることを確認しよう。毎日の習慣が続けやすい理由は三つある。第一に、習慣が日常のタスクに組み込まれるため、複雑な週間・月間スケジュールを組む必要がない。第二に、小さくてすぐ終わるので実行しやすい。第三に、先延ばしできる週間の習慣とは違い、毎日の習慣は後回しにできない。後回しにするということは、1日サボるということだから。
そして、それは避けたい。習慣づくりにおいて「サボること」は失敗につながるからだ。これについては次のセクションで詳しく見ていこう。
習慣の築き方
ローマは一日にして成らず。習慣も同じだ。超人的な力を与えてくれる習慣を築くには、一夜漬け以上の努力が要る。長丁場を覚悟しよう。では、具体的にどうやって習慣を築き、どうやって続けていけばいいのだろう?
まず理解すべきなのは、あらゆる習慣の中心には「トリガー」があるということ。トリガーとは、習慣的な行動を引き起こすきっかけとなる行動や状況のこと。たとえば歯磨きのトリガーは、朝起きることや、夜寝る準備をすることだ。目指すのは、習慣とトリガーを結びつけ、自動的な反応にすること。
トリガーがなければ、その日の気分次第で習慣を実行するかどうかを決めることになる。ご存じの通り、それはかなりあてにならない方法だ。旅をスムーズに進めるには、どの習慣を築くか決めたらすぐに、具体的なトリガーを選ぶことが重要だ。
トリガーはすでに生活の中にあるかもしれない。仕事から帰宅することや、コーヒーを飲み終えることなど。また、すでに身についている良い習慣を新しい習慣のトリガーとして使うこともできる。毎朝緑茶を飲んでいるなら、それを新しい瞑想習慣のトリガーにする、というように。
習慣づくりは長期的なプロセスだということも覚えておこう。習慣が自動的になるまでには、通常少なくとも1か月、多くの場合は丸1年かかる。このプロセスには「ローディング」と「メンテナンス」の2段階がある。ローディング段階では、意志力を使って習慣を形成する。ここで全力を尽くし、そして続ける。言い訳もサボりもなしだ。
習慣を習得したと感じたら、メンテナンス段階に移ろう。ここでは少し力を抜いてもいい。たとえばローディング段階で毎日ワークアウトしていたなら、メンテナンス段階では隔日に減らしてもいい。これが生涯続けていくメンテナンス習慣になる。
習慣づくりは段階的なプロセスだから、すぐに結果が出ることはまずない。1週間ワークアウトしただけで彫刻のような身体になることも、2日文章練習しただけで感嘆するような詩が書けるようになることも、ほぼありえない。だから、進歩を「結果」で測ってはいけない。代わりに「継続」に注目しよう。習慣を何回うまく実行できたか?何回サボったか?それこそが重要な問いだ。
そして、もし失敗しても、自分を許してあげよう。間違いを犯したり、1日サボったり、習慣を完全に諦めたりしても大丈夫。でも、その失敗を理由に次の習慣づくりをやめてしまってはいけない。むしろ失敗を活かし、そこから学び、次はもっとうまくやろう。
健康の習慣
カウチポテトやジャンクフードのストック癖にうんざり?ちゃんとした時間に寝たい?風船のしぼんだような体力に嫌気がさしている?ならば、健康的な習慣を取り入れる絶好のタイミングだ。
まずは健康的な食生活から始めよう。良い食べ物にはたくさんのメリットがある。寿命が延び、生活の質が向上するだけでなく、他のポジティブな習慣を築く意欲も湧いてくる。健康的な食習慣を始めるには、凝ったダイエットプランに振り回されないこと。代わりに、精製糖や精製炭水化物など、日々の食事から有害な食材をいくつか取り除き、より健康的な代替品に置き換えることに集中しよう。食事を計画的に用意しておくのも効果的だ。冷蔵庫に栄養のある食材を常備しておけば、お腹が空いたときに良い選択ができる。
良質な栄養と同じく、良質な睡眠も健康に大きな変化をもたらす。しっかり休めていれば、ストレスが減り、その日を迎える準備が整う。できるだけ8時間程度の睡眠を目指し、アラームなしで自然に起きられるようにしよう。良い睡眠習慣は、規則正しい就寝時間を確立することから始まる。起きる必要がある時間の約9時間前から就寝準備を始め、思考を落ち着けて、実際に時間通りに眠りにつけるようにしよう。そのために、寝る前の少なくとも1時間は電子画面を避けること。画面は睡眠スケジュールを乱すことで有名だ。
健康的な食事と良質な睡眠に加えて、運動も健康に非常に良い。残念ながら、運動は始めるのが最も難しい習慣の一つでもある。でも、もし今あまり活動的でないなら、それこそこの習慣を優先すべき理由だ。運動は自信、筋力、協調性だけでなく、脳の働きも高めてくれる。
Fitocracyの共同創業者ディック・タレンズは、週3日、1日3種目を行うことを勧めている。月曜日はデッドリフト、ローイング、懸垂。水曜日はカール、ベンチプレス、インクラインベンチプレス。金曜日はケーブルクランチ、スクワット、ストレートレッグデッドリフトを行う。
望む結果が出なくても、新しいプログラムに切り替える前に3〜8週間は続けてみよう。覚えておいてほしいのは、習慣づくりはプロセスがすべてであり、結果ではないということ。
整理整頓の習慣
散らかった部屋に帰宅し、脱いだ洗濯物や散乱した書類に囲まれたことはないだろうか?そのとき、嬉しそうに見渡しただろうか、それとも一瞬で不機嫌になっただろうか?物理的な乱れはしばしば精神的な乱れにつながる。だから整理整頓の習慣を築くことが欠かせないのだ。
最初に始められる最も効果的な整理習慣の一つが、「毎日の不完全な掃除」だ。そう、不完全でいい。完璧な清潔さを維持するには並々ならぬ努力が必要で、正直なところ、そんな時間もエネルギーも誰にあるだろう?完璧を目指すのではなく、もっと現実的で達成しやすいレベルの整頓に落ち着こう。そして、そのレベルを維持するために、1日2回、少しだけ掃除をする。
掃除のルーティンを楽にし、心を落ち着かせるために、断捨離の習慣を築くのもいい。毎週末、1〜2時間かけて、この6〜12か月使っていないものを集め、その日のうちに処分しよう。電子機器はAmazonで売れるし、大型家電や家具はCraigslistのようなサイトに投稿できる。明らかな不要品を一掃したら、週末を解放し、あとは新しい未使用品がスペースに入り込んできたときにトリガーとして習慣を発動させるだけだ。
最後に、デジタル空間、特にメールの受信箱でも整理整頓の習慣を築くことが重要だ。日常的に多くの人とやり取りしているなら、重要なメールへの返信を忘れた経験が一度はあるはず。メッセージを読んだけど、考え抜いた返信を送る気持ちの余裕も時間もなかったのかもしれない。再発を防ぐには、メールが届いたらすぐにフラグやスターをつける習慣をつけよう。そうすれば、すぐに返信するプレッシャーを感じずに済み、準備ができたときに重要なメールへ簡単に戻ることができる。
生産性の習慣
今日が締め切りの重要なレポートがあるとしよう。でも、文書に2語入力しただけで、ソーシャルメディアをスクロールしてしまっている。仕事を終わらせたい気持ちはあるのに、どうも今は生産的になれない。
そこで生産性の習慣の出番だ。生産性の習慣を築く効果的な戦略はたくさんあるが、ここでは二つだけに絞って紹介しよう。
直感に反するようだが、一つ目は「生産的になるために座る前」から始まる。先延ばしをした経験があるなら、貴重な時間のほとんどが失われるのは、実際に取り組んでいるときではなく、やるべき仕事を避けているときだと知っているはず。これは特に、固定の勤務スケジュールがない人に当てはまる。手元のタスクに飛び込む代わりに、何時間もソーシャルメディアの深みにはまってしまうのだ。そもそも先延ばしを避けるために、1日の早い時間に仕事を始める習慣をつけよう。これが生産性の勢いを生み出す。重要で価値の高いタスクを早朝に設定し、後回しにできないようにしよう。
「2回で退却」という生産性戦略も役に立つかもしれない。このテクニックの要点はシンプルだ。仕事を中断したくなったら、やめない。2回目にやめたくなるまでやり抜く。そして、もう一度前に進むことに挑戦する。3回目にやめたい衝動が来たら、晴れて退却していい。こうすることで、より多くのことを成し遂げつつ、しっかり努力したという達成感を持ってその日を終えられる。
まとめ
習慣は、意志力を消耗せずに日々のタスクを成し遂げる超能力を与えてくれる。習慣づくりの旅を始めるには、まずどんな習慣に取り組むかを決めよう。心に響くこと、内なるモチベーションに火をつける活動、改善が必要な弱点など、どれでもいい。そこから、その習慣の「行動の合図」となるトリガーを選ぼう。
どんな習慣であれ、鍵となるのは継続だ。続けること。そして、すぐに結果が出ないからといって落ち込まないこと。習慣づくりは1日限りの遠征ではなく、長期的な旅なのだ。いずれ必ず、その報いを受け取れるはずだ。





