気づかないうちに協働を台無しにする「レッドゾーン」から抜け出す5つの必須スキル

『ラディカル・コラボレーション』(2004年)は、効果的で機能性の高い協働関係を築くための貴重な手法と、直面しうるあらゆる対立を乗り切る戦略を提示する。その中心となるのは、誰もがより良いチームメイトへと変わり、どんな組織も効率的で生産性の高いパートナーシップへと変える5つのスキルだ。

本書の要点:より優れた協働者になる方法を知る

ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブズ、イーロン・マスクといった人々について読むと、成功は一人の力で成し遂げられるものだと思いがちだ。しかし、もう少し深く掘り下げれば、成功は他者と優れた協働関係を築く力に大きく左右されることがわかる。そしてこの重要な要素は、今日これまで以上に重要になっている。2016年1月に『ハーバード・ビジネス・レビュー』に掲載された研究によれば、過去20年間で、マネージャーも従業員も他者との協働に費やす時間は2倍に増えたという。

では、協働から最大の成果を引き出すにはどうすればよいのだろうか。この要約では、協働の取り組みをすぐに軌道に乗せるための最も重要な5つの戦略を紹介する。ここで学べるのは、次のようなことだ。

  • 「グリーンゾーン」に入る方法
  • 「言動を一致させる」べき理由
  • 「ストロー設計」を使って合意に達する方法

協働には善意と利他的な態度が欠かせない

現代のビジネス世界は高度につながり合っており、世界中に散らばるチームがオンラインコミュニケーションを活用することで、あたかも隣人同士のように協働できる。だからこそ、優れた協働スキルはこれまで以上に重要だ。では早速、優れた協働者に欠かせない5つの必須スキルを見ていこう。これらはビジネス上の人間関係だけでなく、私的な人間関係も改善するほど有益だ。優れた協働はすべて正しい動機から始まる必要がある。だからこそ、第一のスキルは「協働的意図」であり、これは協働にふさわしい心構えを持つことを意味する。

正しい心構えを保つには、「レッドゾーン」を避け、「グリーンゾーン」にとどまることが重要だ。レッドゾーンとは防御的な態度の領域で、人々は主に利己心や他人を出し抜きたいという欲求に突き動かされる。レッドゾーンにいるときは、創造的な解決策やウィンウィンの状況を見いだそうとは考えず、利己的な欲求が対立を生んでしまう。あなたがいるべきなのはグリーンゾーンであり、そこでは意識が成功する長期的な協働の育成に向かい、誰もがオープンで協力的な価値観に動かされる。グリーンゾーンにいる人は利己的な利益をよしとせず、全員が前進できる解決策を見つけようとする。しかし、自分はグリーンゾーンにいると思い込みながら、無意識のうちにレッドゾーンにいてプロジェクトを台無しにしている人は非常に多い。

だからこそ、常に自分に正直になり、同僚からのフィードバックを受け入れながら自分の態度を振り返ることが大切だ。役立つ練習として、チームメイトにあなたの態度やスタイルを最もよく表す10の言葉を挙げてもらう方法がある。警戒すべきは「防御的」「閉鎖的」「不安」「競争的」といった言葉で、これらはレッドゾーンにいることを示すサインだ。また、小さな出来事を誤って大問題にしてしまったときに教えてくれるよう同僚に頼んでおくのも、グリーンゾーンにしっかりとどまる助けになる。人間関係の経験がある人なら誰でも、関係がうまく機能するには健全な信頼、誠実さ、率直さが必要だと知っているはずだ。

「真実を先に伝える」ツールで、重要なメッセージを確実に届ける

同じことは成功する協働にも当てはまる。だからこそ、協働に不可欠な第二のスキルは「誠実であること」だ。そのために特に役立つのが、「ファースト・トゥルース・ファースト(真実を先に伝える)」という戦略だ。このツールは、問題が起きた瞬間にチームが率直で正直な話し合いを行い、大きな失敗に発展する前に対処できるようにする方法である。上司やマネージャーが、相手の気持ちを傷つけることや気まずい状況を恐れて、従業員との話し合いを先延ばしにしてしまうのはよくある過ちだ。

「真実を先に伝える」ツールを使えば、率直に、最初に本当のことを話すことで、そうした恐れを乗り越えられる。たとえば、「話しにくい問題が一つあります。ただ、このことが、私たちがあなたのチームへの貢献を高く評価している気持ちを変えるわけではないと知っておいてください」と言うようなことだ。しかし、自分が何を伝えているかをより正確に意識したいなら、さらに留意すべき要素がある。特に、意図を歪めかねない身振りや行動を交えずに、明確なメッセージを届けることが不可欠だ。相手に「ええ、あなたを愛しているよ」と言いながら目を回したら、非常に混乱させる矛盾したメッセージになってしまうだろう。同じように、強固な協働には、矛盾した行動のない明確なコミュニケーションが必要だ。

そうすれば、人々はあなたの意図を解読するために時間を無駄にせず、あなたが誠実であることを疑わずに済む。だから、声の調子や身振りがメッセージの意図と一致するよう注意を払おう。たとえば、時間を守るよう促すメッセージを伝えたいなら、自分が気の向いたときに現れることでメッセージを弱めてはいけない。互いへの信頼で結ばれた結束したチームを望むなら、リーダーが他のメンバーと同じ認識を持っていることが重要だ。

優れた傾聴スキルは効果的な協働に不可欠

強固で信頼できる協働は双方向のやり取りだ。正直に話すだけでなく、真摯な意図を持って耳を傾ける必要もある。実際、聞き上手であることは、人間関係にさまざまな恩恵をもたらす。相手は、あなたが自分の話を聞いていると確信できれば、よりリラックスし、心の内を進んで共有し、言葉選びも慎重になる傾向がある。つまり、聞き上手であることは、より深く結びついた関係につながるだけでなく、より多くの正確な情報へのアクセスも与えてくれるのだ。

聞き上手になるためにできることが二つある。一つは「もっと聞かせて」という態度を持つことだ。これは相手に全神経を集中させる方法であり、相手が安心して心を開き、自信を持ってメッセージを伝えられるようにする。結局、部分的にしか注意を払っていない人に、意味のある考えや感情を共有したい人はいない。「もっと聞かせて」という態度とは、話し手の話を誠実に聞き、詰問したり、探るような質問で遮ったりしないことだ。本当に聞いている人は、「それについてもっと聞かせてください」「そうなんですか? 続けてください」といった言葉を使い、相手の話をもっと引き出そうとする。

優れた聞き手は、相手のメッセージをきちんと受け取り、理解したことを伝えることで、話し手に「わかってもらえた」と感じさせもする。しかし、本当に理解するとは、相手の言葉をただ繰り返す以上のことであり、相手のメッセージに対して自分も感情的に反応していることを伝えることでもある。さらに、適切な応答とは、声の調子や身振りなど、話し手が発した他のサインにも注意を払ったことを示すものだ。

賢明に選択し、自分の行動に責任を持とう

あなたは「自分の運命はあらかじめ決まっている」と信じるタイプだろうか。もしそうなら、人生における自分の選択を、それにふさわしい真剣さで考えていないかもしれない。これは健全な協働にとって最善の特性とはいえない。なぜなら、あなたの選択はチームメイトや関係を築いている人々にも影響を与えるからだ。だからこそ、自分の選択を自分で行い、人生をコントロールする力を持っているのは自分だけだということを忘れてはならない。そして、あなたは常にそうした選択をしているのだ。

どこで働き、誰と働くか、そして時間をどう使うかは、すべて毎日行っている選択だ。正しい選択をすることは、責任を受け入れることと切り離せない。だから、今の仕事に不満があるなら、上司や同僚のせいにするのではなく、今の立場は自分の決断の結果であると認識しよう。業務量の多さを上司のせいにして、何も改善しようとしない人とは、誰も働きたくない。同僚と良好な関係を築き、優れた協働者になりたいなら、これは理想的な態度ではない。

その代わりに、優れた協働関係のための第三の必須スキル、「自己責任」を持つ必要がある。これは、仕事においても人間関係においても、自分には選択肢があると認識することで身につく。割り当てられた仕事量に不満があるなら、否定的な感情にただ沈むのではなく、上司と話し、自分が最も生産性を発揮できるようにするにはどんな手段があるかを率直に話し合おう。

自分とチームメイトを理解して、自分の居場所を知る

チーム内の相性について洞察を得たいなら、FIRO理論から始めるのが最適だ。FIROとは「対人関係の基本的指向(Fundamental Interpersonal Relations Orientation)」の略である。この理論は、「包含」「統制」「開放性」という3つの特性が、他者との相性に主な影響を与えると指摘する。これらの特性は、私たちの欲求と恐れによって決まる。私たちは皆、他者から認められ、好かれたいと望む一方で、屈辱を受け、拒絶され、無視されることを恐れている。こうした感情の強さによって、人間関係は大きく左右されうるのだ。

たとえば、自尊心が低かったり、無視されることへの恐れを抱えていたりすると、それは「包含」への欲求に影響を与える。そして、この「含まれたい」という欲求とともに、他者を受け入れることへの恐れや、開放性の欠如を抱えている場合もある。ここで、第四の必須スキル、「自己認識」が登場する。自己認識とは、自分の恐れ、欲求、感情、そしてそれらが他者とどう異なるかを理解していることを意味する。こうした情報を把握していれば、チームの他のメンバーとどうやっていちばんうまく馴染めるかがわかりやすくなる。だから自問しよう。「私の『包含』『統制』『開放性』の度合いは、一緒に働いている人々と比べてどうだろうか」と。

その答えがわかってくると、そうした人々と自分との相性をよりよく理解できるようになる。たとえば、あなたが「包含」を強く好むCEOだとしよう。その場合、同じく「包含」を好む人とは非常に相性が良いが、一人でいることを好む人には違った接し方が必要かもしれない。結局のところ、柔軟であることが、あらゆる成功する協働と、チームメイトとの生産的な関係構築の鍵なのだ。

対立解決の第一歩は、全員を落ち着かせ、問題を理解すること

どれほど柔軟でも、他者と働くうえで対立は必ず起きるものだ。ここで、協働関係を築き維持するための第五にして最後の必須スキル、「対立のマネジメント」が登場する。特に対立を扱う効果的な方法の一つが、「利害ベース」のアプローチだ。これは、ある争いにおける全員の利害を考慮するための段階的な手法である。その第一歩は、誰もが「含まれている」と感じられる環境をつくることだ。

全員と定期的に連絡を取り合うことで、どのチームメンバーが他者よりも「包含」への強い欲求を持っているかを見極め、神経をとがらせている人を落ち着かせることができる。人々の立場を理解したら、それに応じて行動できる。たとえば、特に「含まれたい」という強い欲求を持つ人には、電子メールではなく対面で接することを選ぶかもしれない。次のステップは、目の前の問題を明確に定義することだ。避けたいのは、何日も、何週間も、あるいは何か月も交渉した末に、そもそも何が争点だったのかを理解していなかったと気づくことである。これは複雑な問題が絡むと簡単に起こりうる。

経営陣は従業員の出席率低下は賃金紛争が原因だと考え、人事部は士気の低さだけが原因だと思うかもしれない。実際には、その両方の問題が原因になっていることもある。だからこそ、問題を正確に定義するのが調停者の役割なのだ。ただし、これらは利害ベースのアプローチの最初の2つのステップにすぎない。次の2つのステップを次の節で見ていこう。

自分自身も含め、全員の利害を理解し、代替案を準備する

第三段階では、対立に関わるすべての当事者の利害を把握したうえで、次に自分自身の利害に目を向ける。自分の利害は、固定された「立場」とは異なる。固定された立場とは、状況から望む結果のことだが、利害は柔軟であり、そこに焦点を当てるべきだ。たとえば、あなたが車を8,000ドルで売ろうとしているとしよう。

車を必要としている友人がいるが、相手が提示できる最高額は7,000ドルだとする。あなたの立場は「どうしても車を売りたい」というもので、それは固定されている。しかし、取引を成立させるための手段は柔軟だ。たとえば、販売価格は必ずしも8,000ドルである必要はない。自転車用キャリアとスペアタイヤを付けるなら、7,500ドルで交渉できるかもしれない。妥協点に達しなかった場合に備えて、代替案(コンティンジェンシープラン)を用意しておくことも重要だ。しっかりした代替案を前もって用意しておけば、自分の最善の利益は何かを判断する際の重要な基準になる。

たとえば、あなたと隣人が木の撤去をめぐる土地の紛争を解決しようとしているなら、代替案は少額訴訟裁判所で決着をつけることだと事前にわかっているかもしれない。これを念頭に置いておけば、隣人からの提案を適切に検討するための判断基準が得られる。木の撤去費用の半分しか払い戻されないのは理想的ではないとしても、裁判になった場合にかかる時間とお金を考えれば、おそらくましだろう。しかし、それがわかるのは、そもそも代替案を用意していたからにほかならないのだ。

解決策を見つけるには、問題を分解し、絞り込める複数の選択肢を見いだす

対立マネジメントにおける利害ベース・アプローチの最終段階を見ていこう。このアプローチの最終的な成果は、対立に対する創造的な解決策と妥協点を見つけることだ。それには、対立をより小さく正確な問題に分解すれば、その可能性が高まる。労働組合がストライキを起こすと、労使交渉は賃金の問題で行き詰まることが多い。しかし、賃金の問題を小さな部分に分解すれば、乗り越えやすくなるのがわかる。

組合が求めている時給の引き上げ額から検討を始めると、そのお金を別の形で労働者に届ける方法をいくつも提案できる。たとえば、年末ボーナスとして支給するのはどうだろうか。あるいは、特定の業績目標を達成したときに分割して支給するのはどうか。交渉の終盤には、対立における全員の利害関係が明らかになっているので、かなりの数の潜在的解決策がテーブルに上がっているはずだ。次はそれを絞り込み、どれが最もうまくいくかを決める段階だ。そのための最良の方法の一つが、「ストロー設計」を使うことである。これは、各解決策を体系的に検討・議論し、その後、当事者の一方に合意の暫定的な「ストロー設計」をまとめてもらうというものだ。

「ストロー(わら)」という言葉は、その合意が柔軟で固定的ではない性質を表している。草案ができたら、それを配布し、全員がフィードバックを行い、それを改訂の参考にする。労働ストライキの例なら、年末ボーナスや業績連動報酬という提案を別々の草案にまとめ、配布してもう一度フィードバックを募る。このプロセスを繰り返すうちに、少しずつ最終合意へと近づき、やがて全員が満足する合意に到達する。本書の要点:世界的につながり合う世界では、優れた協働スキルがこれまで以上に重要である。

まとめ

だからこそ、協働関係を築き維持するために不可欠なスキルを特定することが、あなたの最善の利益につながる。 特に重要なのは、対立を解決する方法を知ることだ。それは、関係するすべての当事者の状況を把握し、あなたも含めて全員が納得できる解決策を見つけることで可能になる。 実践的なアドバイス:すべての利害関係者をブレインストーミングに招こう! 次に対立の創造的な解決策を考えようとするときは、関係者全員でブレインストーミングを試してみてほしい。

ブレインストーミングは、選べるアイデアの数を増やしてくれる効果的な手法だ。だから、対立するすべての当事者に、少し時間を取ってアイデアをいくつか書き出してもらおう。そうすれば、一方が他方より多くの提案をすることで主導権を握る状況を避けられる。ご意見・ご感想をお待ちしています。ぜひお寄せください。

さらに読みたい方へ:『コラボレーティブ・インテリジェンス』(ドーナ・マルコヴァ、Ph.D.、アンジー・マッカーサー著) 『コラボレーティブ・インテリジェンス』(2015年)は、自分独自の思考の使い方を活かして、あなた自身の知性を育むためのガイドだ。この要約では、自分の強みと他者の強みを見極めて伸ばしながら、それに合わせてコミュニケーションを調整する方法を学べる。

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