大規模組織のサービスは「つぎはぎ」だらけ? 部分最適をやめ、エンドツーエンドで成果を出す方法

サービス組織(2023年)は、あらゆる組織がサービス提供者へと進化する中、急速に変化するデジタル環境では、従来型の組織構造や慣行がエンドツーエンドのサービス提供の成功を妨げていると論じる。本書は、個々のサービスを単に近代化するのではなく、組織の基盤となる条件を変革するための、実践的で取り組みやすいツールを提供する。

この本で得られること:大規模なサービス設計にどう取り組むか

巨大組織でサービス全体を再設計しようと考えているだろうか。単一のサービスについての助言は豊富にある一方、何十ものチームが何百ものサービスを動かしている組織向けの指針は驚くほど少ないことにすぐ気づくだろう。多くの専門家は、単純に手に負えないほど難しいと考えている。それももっともだ。組織のサービスの大半は意図的に設計されたものではなく、組織そのものの分断された構造を反映して自然発生的にできあがるからだ。

とはいえ心配はいらない。この規模でもサービスを最適化することは可能だ。鍵となるのは、サービスそのものだけでなく、足場づくり、問題解決、組織の基盤的な条件への対処を組み合わせることである。本要約では、困難だが実現可能なこの課題への取り組み方を具体的に示す。

あなたの組織はサービス提供者である

今日のほぼすべての大組織に関係するテーマ、サービス提供について話そう。そもそもサービスとは何か。簡単に言えば、サービスは私たちが何かを成し遂げるのを助けてくれるものだ。通勤であれ、正しい税額を納めることであれ。自社がサービスを提供しているかどうか確信が持てない?

はっきりさせておこう。あなたの組織もほぼ間違いなくサービスを提供している。まだなら、近いうちに必ずそうなる。あらゆる業界がサービス業へと変化しているのだ。しかしここに課題がある。大規模で歴史のある組織の多くは、最初から最後まで切れ目のないサービスを提供するようにはつくられていない。円滑なサービス提供を支えるために組織を再設計するのは難しい。

調整すべき可動部分は無数にある。しかし、もっと大変なのは何か。サービスをうまく提供できないことだ。それはユーザーと従業員の双方を苛立たせる。航空会社を想像してほしい。内部の予約システムがアップグレードのたびに簡素になるどころか複雑になり、機内食のケータリングと予約システムが適切に連携しないため、客室乗務員が食事サービスの提供に苦心する。単純なアプリの再設計とは異なり、航空会社のサービス改善には、複数の部門にまたがる何十もの相互接続されたシステムを調整することが必要だ。

では、サービスの合理化にどう着手すればいいのか。まず、組織を内部構造ではなく、提供するサービスによって定義することだ。組織は往々にして部門や機能で物事を考えるが、ユーザーは成果で考える。銀行は住宅ローンを提供するが、顧客が望むのは家を購入することだ。だからこそ英ナットウェストは現在、住宅購入に関わる他のステップを自社の住宅ローンサービスに組み込んでいる。

覚えておきたいのは、サービスを成果の観点で定義することだ。家を買う、別の国で働く、ゴミを収集してもらう、といった成果だ。完全なサービスとはエンドツーエンドのものであり、ユーザー、提供者、その他関係者のあいだのすべての相互作用を含む。自社をサービス提供者として捉えることが、より良いサービス提供への第一歩となる。

サービスを「外から中」の視点で定義する

良いサービスを提供できるかは視点次第だ。内側から外側を見るのではなく、外側から内側へという視点でサービスを定義してみよう。つまり、組織図ではなく、ユーザーの目を通してサービスを見るということだ。プロセスではなく段階で考えることで、この外から中の視点へと方向転換できる。

プロセスとは組織内部で起こる手順のことだ。段階は、前進するために起こる必要がある意味のある成果を表す。小規模事業向け融資を申し込む人を考えてみよう。ユーザーの最初の段階は「申込書に記入する」ではなく、「資金が必要だと気づく」ことだ。サービスのライフタイムにおけるすべての段階を理解することで、組織が関わり始める地点だけでなく、ユーザーが実際にいる地点で出会うサービスを設計できる。この外から中の視点は、自然とユーザーのコンテキストをマッピングすることにつながる。

例えば結婚式の花を提供しているなら、実際には会場選び、写真、ケータリングを含む、はるかに大きな「結婚する」というサービスの一部なのだ。このより広い全体像を理解すれば、自社のサービスが顧客の生活にどう位置づくかを特定でき、競合が見落としがちな、よりシームレスなつながりを生み出す機会が見えてくる。サービスの提供において何が難しいかを複数の角度から理解する時間を取ることも重要だ。例えば医療システムでは、患者管理ソフトウェアが医師のカレンダーと連携しないため、予約調整が運用上の悩みになっているかもしれない。一方で経営陣は、実際には患者満足度を反映しない効率性指標に注目しているかもしれない。こうした断絶を認識することが、意味ある改善には不可欠だ。

最後に、良いサービスが具体的にどのようなものかを明確に定義しよう。政府のビザ申請プロセスであれば、透明なスケジュール、明確な案内、妥当な処理時間、問題発生時に利用しやすいサポートなどがそれにあたる。これらはユーザーにとって非常に重要だが、従来の組織指標には反映されていないかもしれない。卓越したサービス提供への道は、この一貫した外から中の視点から始まる。大切なのは、内部構造に合わせるのではなく、ユーザーと同じ目線で組織を見て、彼らの体験を中心に設計することだ。

真の指標を追跡する

あなたの組織は主要な指標を追跡しているつもりかもしれない。だが本当にそうだろうか。通常、組織のレポートは全体像ではなく、個別の機能に焦点を当てている。厨房が調理スピードを追跡し、給仕係が対応したテーブル数を数える一方で、顧客が食事を楽しんだか、また来店したかは誰も測定していないレストランを想像してみてほしい。

欠けているのは、サービス成果についての共通理解だ。これを定義するには、サービスの三つのつながったレベル、すなわち政策意図、サービス、サービス成果を明確にする必要がある。例えば公衆衛生では、政策意図は病気の蔓延から市民を守ることかもしれない。サービスは、パンデミック中に自宅待機するための経済的支援を提供することだ。そしてサービス成果は、対象となる給付を適切な期間内に届けることとなる。こうした成果を定義すれば、サービス全体の道のりにおいて「良い」とは何かを示す意味ある指標を設定できる。

指標を追跡する際には、サービスが意図をどの程度達成しているか、正しい成果がどのくらいの頻度で得られているか、時間・労力・リスク・コストがどれだけかかっているかを検討できる。次に何を追跡すべきか。ペインポイント(不満点)だ。ユーザーリサーチを通じて、人々がなぜ不満を感じるのかを特定し、その上で優れた姿を思い描き直す。保険金請求フォームがわかりにくいという理由でユーザーが途中で離脱するなら、フォームが状況に応じて変化し、各ステップで明確な案内を提供する再設計プロセスを構想しよう。基本的な満足度指標にとどまらず、期待と自信も測定することだ。

政府の許認可プロセスに人々が「満足」するのは、単に最初からひどいものだと期待していたからかもしれない。事前の期待と事後の自信を把握することで、実際のユーザー体験をはるかに深く理解できる。サービスを改善する際には、本来存在すべきでないものを最適化しないように注意しよう。多くの組織は、より良いサービス設計によって完全になくせる可能性のあるプロセスを微調整している。例えば銀行は、紙の申請処理を完璧に磨き上げた後で、そのプロセス全体を簡単なオンラインフォームに置き換えられることに気づくかもしれない。報告のパラダイムを本当の指標にシフトすれば、サービスが機能している場所と機能していない場所を容易に見極められるようになる。

サービス戦略を定める

組織戦略は、組織が行うすべての基調を定め、成果を方向づける。では、あなたの組織のサービスに関する戦略は何だろうか。明確なサービス戦略は、大規模で複雑なオペレーション全体の改善を推進するために連携する、四つの主要素で構成されるべきだ。第一の要素は、サービスの役割を明確に述べることである。

「適切な人々が適切な税を納めるのを助け、促す税制」のように明確に表現されたサービス成果は、組織全体の進むべき方向を定める。この明確さは、日々の課題が生じたときにもチームが進むための北極星のようなものになる。第二の要素は、取り組みを統一するための推進原則を定めることだ。大規模組織では、優先事項の競合や部門間の摩擦は避けられない。推進原則は、こうした複雑さを乗り越える助けとなる。推進原則は、必要に応じて他の考慮事項より優先される単一の指針となる場合がある。例えば「パンデミック中に人々が自宅待機できるよう、今すぐ支払う」などだ。

あるいは、「5年以内に就労許可の発給期間を3週間から2日へ短縮する」といった野心的な目標でもよい。これらの原則は、対立を解消し資源に優先順位をつけるための意思決定ツールとなる。第三の優先事項は、確実性を最大限に高める成功アプローチを選ぶことだ。多くの組織では、すべてを同時並行で行うことがデフォルトになっているように見えるが、これは混乱と過負荷のもとだ。代わりに、戦略的かつ系統的であろう。例えば、サービス提供をつなぎ合わせるアプローチを検討すると、他の方法では見えにくいギャップ、重複、リスクが浮き彫りになる。

あるいは、サービス全体で小さく始める方法もある。基本的な反復版をつくるために絶対に必要な最小限の要素を特定し、それを提供するために全チームを巻き込む。まずは10人から100人程度のユーザーに小さな提供から始め、教訓を得てから拡大する。最後に、戦略とその根拠を物語として伝えるナラティブをつくることだ。これは組織全体に明確に伝える必要がある。

次のように考えてみよう。「まずは100人のユーザーに対してサービスを機能させるところから始め、その後1万人に拡大する。つまり今年はテクノロジーのスケールアップには一切取り組まない」。これら四つの要素がそろえば、サービス戦略は単なる文書ではなく、チームの足並みをそろえ、意味ある改善を推進する強力なツールになる。

サービスを中心にチームを編成する

大規模組織にとってのゲームチェンジャーは何か。サービスを中心にチームを配置することだ。あまりにも多くの場合、あるチームがサービスの一部だけに取り組み、提供の他の側面を扱う人々とほとんど話をしていない。その結果は?

それは、全員を苛立たせるバラバラな体験だ。複雑なサービスには現場と裏方の業務、複数のチャネル、さまざまなテクノロジーが含まれるため、一つのチームがサービスをエンドツーエンドで担当するのは現実的ではない。しかし、サービスをチーム構造の中心に据えることで、強力な相乗効果を生み出せる。サービス指向の組織では、いくつかの補完的なチームタイプが調和して機能する必要がある。サービスチームは、プロダクトチームやデリバリーチームとも呼ばれ、ユーザーが実際に体験できる具体的な改善に集中する。行き詰まりにぶつかると深掘りチームが登場する。こうした専門家は、複雑なユーザーリサーチの課題や技術アーキテクチャの決定など、通常のチームには対応しきれない厄介な問題に取り組む。

こうした取り組みを支える共通機能チームは、組織全体でサービスに一貫性を持たせるための構成要素を開発する。共有決済システムや本人確認などを思い浮かべてほしい。実現支援チームも重要な役割を果たし、調達の簡素化やガバナンス上の障壁への対処など、障害を取り除き、成功のための条件を整える。すべてをつなぎ合わせる調整チームは、全員が全体像を見通せるようにする結合組織として機能し、運用チームは日々の品質を維持し、改善のための重要なフィードバックを提供する。魔法が起きるのは、これらの多様なチームが効果的に協働することを学んだときだ。

期待を明確にする原則をつくろう。例えば「指示するだけのコンサルではなく、自ら手を動かす設計と提供」「考える・計画するだけでなく、つくる・実行することを重視する」などだ。チームが自分の役割と、より広い全体像のなかでの位置づけの両方を理解していれば、ユーザーにシームレスな体験をもたらす、より良い意思決定を自然に行えるようになる。これは組織図の箱を並べ替えるだけではない。組織が価値を届ける方法を根本から変えることだ。そして、それが大きな違いを生む。

変化を計画する

「計画しないことは、失敗を計画していることだ」という格言がある。だがサービスの計画では、鍵となるのはむしろ失敗できる計画だ。変化し、適応し、そう、失敗さえする計画をつくることで、固定された締め切り付きの詳細な計画には決して真似できない方法で、より良いサービスを提供できる。まずは「あえて粗い計画」から始めよう。望む成果から逆算した、具体的な日付を入れない基本的なタイムラインだ。

政府の給付サービスを再設計している? 不満点の把握、よりシンプルな申請プロセスのプロトタイプ作成、小規模グループでのテスト、その後の拡大といった段階を描き出そう。これは、学びとともに物事が変化することを認めつつ、チームに方向性を与える。実際、物事は必ず変化するのだ。枠組みが形になってきたら、何をどのように学ぶ必要があるかを考えよう。患者の予約調整を刷新する医療機関なら、現在スタッフと患者がどうやって予約を回しているかを理解する必要がある。何が頭痛の種になっているのか?

どのような解決策が役立つだろうか。チームがユーザーに同行観察し、インタビューを行い、初期プロトタイプをテストする「学習スプリント」をつくろう。それは本作戦の前の偵察のようなものだ。学びながら、障害に先回りして探し出そう。ローン申請を近代化する銀行は、セキュリティ要件、システム統合の課題、コンプライアンス上の必要性を最初に特定すべきだ。この早期の障害マッピングによって、実装の途中で障害につまずくのではなく、制約を織り込んで設計できる。正気も資源も守れるのだ。

ここで、小さく始めて実際の証拠を使いながら、運用モデルへと反復的に近づいていける。カスタマーサポートを刷新する通信会社なら、1つのチームが新しいアプローチで、よくある1つの問題だけを扱うことから始めるかもしれない。この小さな実験室によって、変更を組織全体に展開する前に、実際に何が機能するかを見極められる。理論的な仮定よりも、実際の結果が常に勝る。

この旅の全体を通じて、日々サービスを運営することになる人々を巻き込もう。航空会社がチェックインを再設計するなら、地上スタッフがワークフローの設計を手伝い、テクノロジーをテストし、現場のフィードバックを提供すべきだ。彼らの最前線からの洞察は、いざ実践となったときに、あなたの優れたアイデアが本当に機能することを確実にしてくれる。この適応型アプローチは、すぐに時代遅れになる一度きりの変革ではなく、継続的な改善を生み出す。

最終まとめ

ケイト・ターリング著『サービス組織』の本要約から得られる主な学びは、大規模組織におけるサービス提供の改善には、ユーザーの視点からサービスを定義し、実際の成果を測定し、部門ではなくサービスを中心にチームを編成することが必要だということだ。成功は、学びながら進化する適応型の計画をつくること、競合する優先事項を解決する明確な原則を定めること、そして自分の役割とより広いサービス全体像の両方を理解する専門チーム間の協働を育むことにかかっている。

以上で本要約は終わりです。お楽しみいただけたなら幸いです。可能であれば、ぜひ評価をお寄せください。フィードバックはいつも感謝しています。それでは、次回の要約でまたお会いしましょう。

Add Comment