『Getting Along』(2022年)は、職場での人間関係の重要性と、それが生産性や創造性に与える影響について解説する一冊です。
この要約でわかること:職場の“フレネミー”は、キャリア最大の問題にも、大きな資産にもなり得る
職場の親友を思い浮かべてみてください。通勤途中にあなたの分のカフェラテを買ってきてくれる人かもしれませんし、義理の家族にまつわるゴタゴタを何でも打ち明けられる相手かもしれません。
その人の何が特別であれ、親しい人間関係は、ありきたりな「9時から5時」の仕事を、毎日通うのが楽しみで、やる気と刺激を与えてくれるものへと変える鍵になります。協力的で前向きな人間関係は、創造性や生産性を高め、幸福感をもたらします。一方、ネガティブな職場環境は仕事と生活の質を下げかねません。この短い要約では、人間関係の上手な管理方法と、職場を楽しめる場所に保つ方法を学びます。
職場の人間関係は、仕事の質・生産性・幸福度に大きく影響する
フォーチュン500企業の重役が角部屋のオフィスで働くほうが、最低賃金で工場の現場に立つ人よりも、恵まれていて幸せな仕事体験をしていると考えるのは、もっともな推測かもしれません。あるいは、社会正義に取り組む素晴らしい団体の援助職員は、ファストフード店員よりも喜びと満足感を感じて帰宅するだろう、と無難に考えるかもしれません。しかし、そうとは限りません。重役が弱肉強食の環境で敵意むき出しの同僚に囲まれ、工場労働者には毎日冗談を言い合える親しい友人が3人いれば、まったく逆のことが起こり得ます。
ファストフード店員が思いやりのある上司に支えられ、援助職員が自分のアイデアを上司にいつも横取りされているなら、ドライブスルーの窓からポテトを渡す仕事のほうが、貧困問題に取り組むよりもやりがいがある、ということにもなりかねません。仕事の満足度においては、平凡な仕事に就く人も、やりがいのある仕事に就く人と同じくらい満足感や充実感を得られます。では、満足できる仕事人生の秘訣は何でしょうか。給与や福利厚生ももちろん重要ですが、最も重要な要素は、昔ながらの「人とのつながり」かもしれません。ここで、支えてくれる人の効果を調べた興味深い研究を紹介しましょう。2つのグループを丘のふもとに連れて行き、一方は1人で、もう一方はペアで登る設定にしました。
各人に重いバックパックを背負わせ、目の前の丘の傾斜を見積もってもらいました。すると、ペアで登る人たちは、1人で登る人たちに比べて、丘を「より緩やかで登りやすい」と評価する傾向が圧倒的に強かったのです。逆もまた然りです。職場の人間関係が原因で仕事に不満を抱いている人は、意図的に手を抜いたり、仕事の質を下げたりすると回答する傾向があると研究は示しています。COVID-19パンデミックの際には、生産性が下がったと感じる人は、人とのつながりも感じにくくなっていたという調査結果があります。極端なケースでは、不快で敵対的な職場環境は健康にすら悪影響を及ぼします。
ある研究では、カップルを2つのグループに分けました。片方は喧嘩の多いカップル、もう片方は強く支え合う関係を築いているカップルです。参加者の皮膚に小さな傷をつけて観察したところ、幸せな関係にあるカップルのほうが傷の治りが実際に速かったのです。人は、他人からどう扱われるかに強く影響を受けるようにできています。上司から同僚の前で叱責されたり、同僚が陰で自分のプロジェクトをこき下ろしていたと知ったりすると、脳はまるで身体的に攻撃されたかのように反応します。
脳内のアーモンド形をした領域である扁桃体が、コルチゾールやアドレナリンといった闘争・逃走反応を引き起こすホルモンを放出し、浅い呼吸や食いしばった顎などの身体症状を引き起こすことがあります。楽しいものではありませんし、長い目で見ればキャリアにも悪影響を及ぼします。では、理想とはほど遠い人間関係の職場に閉じ込められてしまったら、どうすればいいのでしょうか。
ネガティブなやりとりを管理すれば、扱いにくい同僚とも共存できる
オーストリアの精神科医でありホロコースト生存者でもあるヴィクトール・フランクルは、次の有名な言葉を残しています。「刺激と反応のあいだには空間がある。その空間で私たちは反応を選ぶ力を手にする。その選択の中に、私たちの成長と自由がある」。さあ、その空間に足を踏み入れてみましょう。
まず、自分の反応を観察しましょう。あなたがプレゼンをしたとします。拍手ではなく肩をすくめた同僚がいて、あなたは動揺しました。プレゼンは大失敗だったと感じて、怒りながらその場を後にしたとします。しかし、本当に失敗だったのでしょうか。それとも、ネガティブなことだけに注目し、複数の良いことが起きていてもその一つだけにとらわれる、ネガティビティ・バイアスにとらわれているだけなのでしょうか。あなたはたった一つの否定的な反応に気を取られ、うなずいて微笑んだ別の同僚や、話の間中ずっと熱心にメモを取っていた同僚のことを見落としていたのかもしれません。
自分が反応している状況を再評価してみましょう。それをもっと前向きに、あるいは少なくとも中立的なフィルターで見ることはできないでしょうか。脅威ではなく課題として捉え直せないでしょうか。それでもなお、不快な職場の人間関係が存在し、それが自分のキャリアや人生に影響を与えていると確信するなら、対処する時です。方法は次のとおりです。まず、受動的攻撃的な上司や、とにかくネガティブな同僚など、難しい相手を特定し、できるだけ避けること。社交の誘いを断り、直接対話ではなくメールでやり取りするなどして、相手の影響圏から離れましょう。
もし彼らとのやり取りが避けられないなら、記録を始めましょう。会話ややり取りの詳細を書き留め、相手の行動パターンを特定して追跡できるようにします。やってはいけないことは何でしょうか。相手を辱めたり、仕返しをしたり、感情を押し殺したりするのはやめましょう。その代わりに、自分がコントロールできるものをコントロールしましょう。自分の価値観を反映した「小さな文化」を周囲につくるのです。
自分と同じように考え、一緒にいて楽しい人、支えてくれて前向きな気持ちを与えてくれる人に連絡を取りましょう。気の合う人と仕事の外でも活動しましょう。そして、自分自身に思いやりを持ちましょう。
最後に
この要約で紹介したことをすべて試しても、まだ職場で息苦しさや不幸を感じているかもしれません。もし去る時が来たのなら、胸を張って去りましょう。ただし、目の前に良い選択肢があることを確認してください。問題から逃げるために走るのではなく、より良い何かに向かって走ってください。





