『私に効いた方法』(2012年)は、有能なリーダーになるためのコリン・パウエルの実践的な知恵を伝える一冊である。その内容は主に、彼が軍と公職で過ごした時間と、その立場での経験から得た洞察に基づいている。
本書から得られるもの:四つ星将軍が明かすリーダーシップの極意
上司が優れたリーダーである理由について、立ち止まって考えたことはあるだろうか。日々の問題への対処の仕方なのか、組織をうまくまとめる手腕なのか、それとも困難な状況でも冷静でいられる姿勢なのか。
「はい」と何度も答えたのなら、あなたは核心をつかんでいる。有能なリーダーとは、一つの資質だけで成り立つものではなく、さまざまな特性と能力の組み合わせだからだ。元四つ星将軍で国務長官を務めたコリン・パウエルによる本書『私に効いた方法』では、そうした資質が具体的に何であり、それを自分のリーダーシップにどう活かして成功につなげられるかを学べるだろう。
コリン・パウエルの13のルール
1989年、コリン・パウエルがアメリカ陸軍戦力コマンドのトップに就任した後、雑誌『パレード』が彼の特集記事を組んだ。彼の「リーダーシップ13のルール」が生まれたのは、まさにそこでのことだ。パウエルのリーダーシップとマネジメント哲学を体現したこれらの原則は、その後、軍はもちろんさまざまな業界で広く称賛され、引用されるようになった。
それぞれを簡単に見ていこう。
ルール1:困難な時こそ楽観的でいること。物事が思い通りに運ぶかはわからない。それでも、勝つための姿勢を持ち続けることが欠かせない。ポジティブさを示すことで、部下が困難を乗り越えようという気持ちを引き出すことができる。
ルール2:怒りを感じるのは自然なことだが、怒り続けないこと。怒りの感情を手放す術を身につけよう。自制心を失い始めるまで待ってはいけない。
ルール3:自分のエゴと立場を切り離すこと。これは、自分が間違っていると気づいた時に特に重要になる。エゴが立場と結びついていなければ、ミスによって自尊心が傷つくことはない。
ルール4:「やればできる」という態度を持つこと。できないと判断できるだけの十分な根拠がない限り、常に自分にできると信じるのだ。ただし、下調べもせずに飛び込んでよいという意味ではない。課題や反対意見を常に念頭に置くこと。
ルール5:決断には慎重になること。その結果と向き合わなければならないからだ。選択をする際には、潜在的な利益とリスクを注意深く天秤にかけよう。
ルール6:決断を下す際には、不利な事実に挑むこと。そうした壁に妨げられるのではなく、乗り越える方法を探すのだ。直感と経験を活かして解決策を見つけよう。
ルール7:自分の決断は自分の責任。他人の意見や意向に振り回されてはいけない。フィードバックや助言を受け入れる姿勢は大切だが、最終的な決断は自分にあることを常に忘れないこと。
ルール8:小さなことにも目を配ること。組織の末端にあるようなこともだ。小さくても、それが最大の違いを生むことが多い。リーダーとして自ら確認するか、チームのメンバーにフォローアップさせるべきだ。
ルール9:手柄を独り占めせず、部下と分かち合うこと。その最善の方法は、心のこもったしぐさで示すことだ。チームメイトの背中をポンと叩いたり、彼らの努力を認めていると伝えたりしよう。
ルール10:混乱の最中こそ、優しく落ち着いていること。そうすれば部下がパニックに陥らず、仕事を成し遂げやすくなる。
ルール11:組織の目的を定めること。部下が効果的に機能するには、自分たちが何のために働いているのかを知り、それを腹落ちさせている必要がある。目的を設定し、それを達成するための基準を作り、部下がその基準を満たせるよう導こう。
ルール12:否定的な声に足を引っ張られないこと。人生には常に疑う人や恐怖の瞬間がある。それらを認めた上で、それを乗り越えて前進することを学ぼう。
ルール13:絶え間ない楽観主義は、あなたの力を何倍にもする。自分が成功すると信じれば、部下も同じように信じるようになる。ただし、楽観主義だけでは不十分だ。部下が成功するための備えができるよう、トレーニングと準備にも投資する必要がある。
この13のルールは、有能なリーダーになるための枠組みとなる。しかし、それ以外にも重要な要素がたくさんある。それについては次の章で見ていこう。
卓越したリーダーの資質
魅力的な発見、革命的な発明、変革的な運動の背後には、必ずリーダーがいる。リーダーは進歩への道を切り開き、最終的に世界を形作る原動力だ。そのスキルと知性がなければ、成功は遠い夢に過ぎないだろう。
しかし、優れたリーダーになるには、頭の良さと常識だけでは不十分だ。真に卓越したリーダーになるには、生まれ持った才能を超えて、他の本質的な資質を磨く必要がある。
まず何よりも、優れたリーダーは組織のために明確で心を動かす目的を持っている。ルール11で強調したように、この目的はすべての部下にとっての道しるべとなる。組織全体が一体となって機能し続けるのは、この目的があるからだ。最初にこの共通の目的を確立し、部下に効果的に伝えるのがあなたの役目である。そうしなければ、失敗に陥る危険がある。
優れたリーダーであることは、自分の責任を引き受けることを学ぶことでもある。いざその立場に就いたら、前任者の問題や約束事を含むすべてが自分の肩にのしかかってくる。他人のせいにするのではなく、できる最善のことは、課題に正面から取り組み始めることだ。
これは、リーダーの交代時だけでなく、意思決定においても当てはまる。重要なことを行うと決めた時は、常に責任を取る覚悟を持て。コリン・パウエルはこれを「陶器店のルール」と呼ぶ。陶器店で物を壊したら、買い取る責任がある——つまり、自分の行動の良い面も悪い面も引き受けることを学ぶのだ。
さらに、フィードバックを受け入れ、失敗から学ぶ方法を知らなければ、優れたリーダーにはなれない。だからこそ、評価が重要なのだ。過去の行動とその結果を評価して初めて、自分を改善することに取り組める。陸軍ではこれをアフターアクションレビュー(AAR)と呼ぶ。これは行動の過程に成績をつけるためではなく、結果を改善するために何が必要かを学ぶためのものだ。そうすることで、適切なトレーニングと軌道修正が可能になる。
最後に、優れたリーダーとは、いつバトンを渡すべきか、どう渡すか、そして完全に手放すかを理解しているものだ。自分の役割がもう必要とされていない時を知り、次の章に進むことが欠かせない。地位にしがみつきすぎて、バトンを渡す時期が来ていることに気づけないリーダーもいる。
部下を訓練し、その時が来たら引き継げるようにしておこう。部下を、あなたと同じくらい優れたリーダーに育て上げるのだ。そうすれば、あなたが退いた瞬間も組織はスムーズに機能し続ける。
そして、離れる時はしっかりと後ろ手にドアを閉めよう。特典だけあって責任のない名誉職を引き受けて、つながりを維持しようとしてはならない。ただ手放すのだ。チームはすでに、あなたなしでもやっていけるように育てられている。彼らは大丈夫だ。
チームを大切に扱う方法
英語の「team」という単語には「I」(私)が含まれていない。
この表現を何度も聞いたことがあるだろうが、それでもこれは永遠の真実だ。大きなプロジェクトを完了することも、製品ラインを丸ごと開発することも、戦争に行くことも、一人ではできない。いずれの場合も、勝利にはチームの存在が不可欠なのだ。だからこそ、チームのケア方法を知っておく必要がある。
すべては優しさから始まる。仕事がどんなに小さく見えても、チームの一人ひとりが組織の成功に重要な役割を果たしている。一人ひとりに優しく接し、共感と感謝を示すようにしよう。
優しさと並んで、信頼も部下との健全な関係を築くためのもう一つの柱だ。チームを信頼するとは、彼らの能力と判断力を信じることだ。あなたが信頼を与えれば、彼らもあなたを信頼し、精一杯の仕事であなたを支えてくれるだろう。
コリン・パウエルは信頼の力を身をもって知っている。ある時、ブッシュ元大統領はメキシコ大統領との会談の準備を進めていた。国務省の仕事は、メキシコをめぐる情勢について大統領にブリーフィングすることだった。
しかし、パウエルは自らプレゼンテーションをする代わりに、2人の若手デスクオフィサーにその仕事を任せた。彼らにはまだ直接会ったこともなかったが、その専門知識を信頼し、リハーサルすら求めなかった。
大胆な決断だったが、それは実を結んだ。ブリーフィングは滞りなく終わり、若手オフィサーたちは重要な場に参加できたことを大喜びした。信頼にはそれほどのインパクトがあるのだ。
優しさと信頼に加えて、優れたリーダーは相互尊重の環境も育てていく。つまり、あなたがチームを尊重し、チームもあなたを尊重するということだ。チームを尊重するには、彼らを知ることが必要になる。名前を覚え、パフォーマンスを確認し、彼らの抱負や悩みについて尋ねよう。そうすることで、彼らは自分が大切にされ、尊重されていると感じる。
一方、チームの敬意を得るには、あなたが有能でなければならない。リーダーとしての仕事をしっかりと、そして上手にこなす必要がある。そうでなければ、部下はあなたへの信頼を失ってしまうだろう。
チームをケアすることは、彼らが成功するための仕組みを提供することでもある。その方法はいくつもあるが、一つはロールモデルになることだ。動物の赤ちゃんが本能的に親に従うように、部下は指導や助言をあなたに求める。自分の経験と知恵を共有し、彼らの成長を助けよう。
また、チームに必要な設備とトレーニングを提供する必要がある。適切なリソースなしに、ゼロからヒーローになれると期待してはいけない。最新のソフトウェアを導入し、最高のトレーニングを受けさせよう。適切なツールと知識があれば、彼らは驚くほど簡単に成功できるだろう。
最後に、チームに建設的なフィードバックを与え、間違いはすぐに正すことを心がけよう。これは、あなたが組織の基準に従って行動し、部下にもそれを厳密に守ることを求めているという姿勢を示す。問題にすぐ対処すれば、大きな問題への拡大を防ぐことができる。フィードバックは、チームが早い段階で改善する機会にもなるのだ。
チームをケアすることは、リーダーに欠かせないスキルだが、練習が必要だ。最善を尽くして取り組めば、組織への大きな効果をすぐに実感できるだろう。
問題への対処法
リーダーシップには常に伴うものがある。問題だ。毎日毎日、大小さまざまな問題が次々と押し寄せてくる。確かに、今日の問題を最終的にすべて解決できるかもしれない。しかし明日には、間違いなくさらに多くの問題が待ち受けている。問題から逃れることはできない。それがリーダーというものだ。
問題を恐れるのではなく、チームからの信頼と敬意の証として歓迎してみよう。彼らがさまざまな課題を持ち込んでくることは、あなたが逆境を乗り越える力を持っていると信頼している証拠だ。あなたなら乗り越えられると知っているからこそ、そもそも相談を持ちかけてくるのだ。部下が相談しなくなった時、それはもはやあなたを信じていない瞬間なのである。
では、こうした問題には具体的にどう対処すべきだろうか。
まず、問題が発生したらすぐに報告するようスタッフに促そう。知らない問題を解決することはできないので、問題を早い段階で把握することが重要だ。そして、全体像を必ず把握すること。知れば知るほど、状況をより適切に評価できる。
しかし、これは解決策を考えるのがあなた一人の役目になるという意味ではない。まずは部下に取り組ませよう。リーダーとしてのあなたの役割は、最初のガイダンスとサポートを提供することだ。そうすることで、部下が責任を持って動けるようになり、あなたが彼らの決断を信頼していることも示せる。
チームが問題に対していくつかの解決策を出してきたら、次のステップは、それぞれの潜在的な結果を評価する手助けをすることだ。一見効果的に見える解決策でも、同じように有害な新たな問題を生み出すかもしれない。こうした二次的な問題に注意を払い、希望的観測で判断を曇らせてしまわないようにしよう。
会議の進め方
問題と並んで、リーダーの一日を埋め尽くすもう一つのもの。それが会議だ。情報の絶え間ない流れは、組織の円滑な運営に欠かせない。だからこそ、会議をマスターすることが必須なのだ。
心に留めておきたい会議の種類がいくつかある。一つ目は、仕事始めに行う30分の同期ミーティングだ。堅苦しいプレゼンテーションは必要ない。チームと気軽に話し、その日に対処すべき緊急の課題や問題が何かを尋ねるだけでいい。話したくない人がいれば、無理に話させる必要はない。
次に、他のリーダーたちとの公式会議がある。概要がまとまった議題と、大量のブリーフィング資料が配られる。こうした会議に参加する前には十分に情報を把握し、人々の時間を無駄にしないようにしよう。このタイプの会議は通常何時間も続くので、機会を活かして質問を投げかけ、議論を戦わせるとよい。
とはいえ、すべての会議がそこまで構造化されている必要はない。少人数の部下を集めて、ざっくばらんな話し合いをするだけでいい場合もある。そうした場では、翌日の全般的な課題を扱うことも、特定のテーマに集中することもできる。
会議中は、参加者の時間を尊重する姿勢を示すため、なるべく中断を避けるようにしよう。緊急でない限り、他の用事で会議を中断してはいけない。
最後に、会議の目的はチームとつながることだということを忘れないように。だから、その目的を必ず果たそう。
最終まとめ
リーダーシップを極めるとは、自分の仕事と人を扱う術の両方に長けているということだ。仕事に長けているとは、有能で、組織の明確な方向性を持ち、トレーニングと評価を通じて自分を磨き続けることである。また、有能なリーダーにとって、会議の運営と問題解決に熟練していることも欠かせない。
しかし何よりも、真のリーダーは部下をケアすることの重要性を理解している。そのためには、組織に3つの要素を確立する必要がある。優しさ、信頼、そして相互尊重だ。その上で、部下が共通の目標に向かってあなたと力を合わせられるよう、必要なリソースを与えよう。
これらの指針を実践すれば、チームを勝利へ導く準備は十分に整っているはずだ。





