『Whole30』(2015年)は、健康と総合的なウェルビーイングの向上を目的とした食事プログラムです。特定の有害な食品群を一時的に排除し、後から再導入することで、自分に合った食事法を見つけ出すという考え方に基づいています。
あなたへのメリットは? より良い健康とウェルビーイングのための、自分だけの食事法を見つけよう
なかなか治らない肌トラブルを抱えたことはありませんか? あるいは、毎日なんとなく疲れやすく、本来欲しいだけのエネルギーが出ないと感じていませんか? その原因は食事にあるかもしれません。実際、私たちの多くが口にしている日々の食事は、必要な栄養を届けてくれないどころか、健康や全体の調子に大きな悪影響を及ぼしているのです。
Whole30は、まさにこの問題を解決するために設計されたプログラムです。他の食事法と異なり、個人差をしっかり考慮に入れているのが特徴です。30日間かけて、乳製品や糖分の多い食品など、問題を起こしやすい原材料を一切排除し、それらがあなたの健康にどんな影響を与えていたのかを見極めていきます。プログラム完了後には、問題のなかった食品を再開でき、結果的により栄養価が高く、自分にとって有益な食生活が手に入ります。
Whole30はあなたの健康とウェルビーイングをリセットする
本書で学べること:
- 糖分が血流に及ぼす悪影響
- シンプルでヘルシーな食事の作り方
- 食事に起因する気分の浮き沈みをコントロールする方法
そんなあなたにWhole30プログラムはまさに必要なものかもしれません。Whole30はあなたの健康を根本からリセットしてくれます。何が自分に合い、何が合わないのかを見極めるための、画期的な方法なのです。ここでの目標は、30日間、多くの人にホルモンバランスの乱れや炎症を引き起こすことが科学的に示されている食品をすべて断つこと。30日後には、身体はニュートラルな状態に戻っているはずです。そこから、アルコールなど潜在的に問題を起こしやすい食材を、ゆっくりと一つずつ再導入していきます。
そうすることで、それぞれの食材が自分の身体(気分、エネルギーレベル、睡眠パターンなど)にどのような影響を与えるかを観察できるようになります。最終的には、健康に良い影響を与える食品とそうでない食品に分類できるようになり、やがて自分だけの栄養プランを立てて、より高いウェルビーイングへと進めるようになるのです。この手法は長年にわたり活用され、実践者からは非常に高い評価を得ています。実際、プログラム参加者の96%が体重減少とエネルギーレベルの向上を実感し、そのほかにも睡眠の質が良くなったり、集中力が高まったり、気分が良くなったりした人もいます。
高血圧などの生活習慣病や、アレルギー、感染症、関節炎、ADHDを抱える人々にも、良い効果がもたらされています。しかし、Whole30の恩恵を受けるのに慢性疾患は必要ありません。もしあなたが「もっとエネルギーが欲しい」「より健康的な身体を手に入れたい」と願っているなら、このプログラムはまさにうってつけです。さあ、始めましょう。
Whole30は食との関係を変革し、代謝を正常化する
たいていの人が「健康的な食事を始めよう」と思うのは、たいてい体重を減らしたいからです。しかし、自分が口にしているものをよく見直すのには、他にもたくさんの良い理由があります。Whole30プログラムは、私たちが食べ物に対して抱きがちな複雑な感情的・心理的問題を整えることを目的として作られました。ポテトチップスを一袋、思い浮かべてください。高カロリーですが、栄養価はほとんどありません。
こうした食品を口にすると、実際に必要な栄養素が補給されないまま、脳の報酬系が刺激されます。そのうち脳は、常にその食品を欲しがるように再配線されてしまいます。クッキーやチョコレートバー、その他のコンフォートフードがこれほど厄介で、食べ過ぎを招くのはそのためです。そして、欲求に負けて罪悪感に苛まれることになります。罪悪感はネガティブな感情なので、さらに塩分や糖分たっぷりのお菓子でその気持ちを打ち消そうとしていまいます。だからこそ、友達と過ごしたり、お風呂にゆっくり浸かったり、外に走りに出かけたりといった、別の自分をいたわる方法を見つけることがとても大切なのです。
食べ物に対する感情的反応を整えることに加えて、Whole30は代謝機能も元通りに戻します。砂糖や特定の炭水化物を日常的に摂り続けると、やがて代謝が鈍り、身体が次第に安定した糖の供給に頼るようになり、脂肪を燃焼する方法をゆっくりと忘れてしまいます。だからこそ、糖分を摂りすぎていると、約2時間おきに何かを食べなければならないと感じるのです。身体が代謝を回すために新たな燃料を必要としているのです。そうしなければ、イライラしたり、集中力が続かなくなったりします。血糖値もまた、監視すべきもう一つの問題です。
体内の血糖値は通常、レプチンとインスリンというホルモンによって管理されていますが、糖分が過剰に供給されるとこれらのホルモンがうまく機能しなくなります。この後は、具体的に食生活のどの側面にWhole30プログラムを活用していくかを学んでいきます。簡単な道のりではありませんが、Whole30を始めるには、まず特定の食品を排除することから始めます。対象となるのは、砂糖類、甘味料、アルコール、穀物、豆類、乳製品です。
Whole30では特定の食品を排除する ― ただし後から再導入できる可能性もある
砂糖類や甘味料、アルコールの悪影響は広く知られていますが、それ以外の食品はどうでしょうか。穀物にはグルテンなどの炎症を引き起こす物質が含まれていることが多いため、身体に悪影響を及ぼす可能性があります。あまり知られていませんが、穀物に含まれる炭水化物が体内で発酵し、腸内細菌のバランスを崩すことがあります。この発酵は全身の炎症にもつながります。穀物でもう一つ気をつけたいのがフィチン酸です。
この酸は特定の微量栄養素の体内への吸収を妨げるため、穀物からはほとんど栄養が得られません。ひよこ豆やレンズ豆などの豆類も、ほぼ同じ問題を抱えています。ピーナッツも要注意食品です。消化できないタンパク質が含まれているからです。乳製品もまた問題が多く、食事から完全に排除する必要があります。牛乳に含まれる糖分(ラクトース)は、本来、小さな哺乳類を急成長させるための高エネルギー源です。人間が牛乳を飲むと、この高エネルギーと特定のタンパク質がインスリン反応を過度に刺激してしまいます。
これは、炎症や、肥満、糖尿病といった問題を引き起こすことがあります。Whole30プログラムに取り組めば、これらの食品が自分自身の代謝にどれほどの悪影響を及ぼしているのかがわかるようになります。問題は、こうした食品が根本的に悪いということではなく、あなたの身体に合うかどうかなのです。始めた当初は劇的な変化のように感じるかもしれませんが、30日後には、排除していた食品のいくつかを再導入できる可能性があります。これらの食材を食事から取り除いて間もなく、エネルギー不足や腹部の張りなど、あなたがそれまで抱えていた不調がおそらく改善し始めるでしょう。
どの食品が問題を起こしているのかを特定するには、排除した食材を一つずつ試し、身体の反応を観察します。合わないと感じた食品は、その後もずっと控えるようにします。問題を起こさなかった食品だけを再導入できるのです。
Whole30中は怒りや頭のぼんやり感、極度の疲労が生じることも
備えあれば憂いなし。Whole30プログラムを進めていくと、エネルギーの高まりや気分の良い変化を感じる一方で、おそらく不快な副作用もいくつか経験するでしょう。たとえば「頭のぼんやり感」はよくある副作用で、まるで二日酔いのような感覚です。
プログラムを始める前に不健康な食品をたくさんとっていた人ほど、ひどい不快感に見舞われる可能性が高くなります。これは身体のデトックス反応として正常なことです。期間中は、ところどころ痛みやコリを感じたり、身体が本来の機能を取り戻すまでに数週間かかることもあります。時につらいと感じても、プログラムをやり遂げるだけの価値があるので、ぜひ頑張り抜いてください。ほかに起こりやすい二つの副作用として、怒りっぽくなることと極度の疲労があります。
ラクトースや炭水化物などをカットしたことによる糖分の減少に、身体は最初、否定的に反応します。これまで不安をやわらげるためにクッキーやドーナツをどれだけ食べていたかを思い出してください。もうそれらを口にしなくなったわけですから、脳をなだめるものがなくなり、ストレスや怒りを感じるのは当然です。糖分不足は疲労も引き起こします。
これは、ミトコンドリアと呼ばれるエネルギーを生み出す細胞が、これまで血流を流れていた糖に頼っていたのをやめ、体内の脂肪や食べ物をエネルギーに変換する方法を学び直さなければならないからです。こうした副作用が最も強く出ている時期は、あらかじめ友人や家族に「気分の浮き沈みが激しくなるかもしれない」と伝えておきましょう。そうすれば、変な行動も想定内で済みます。Whole30の良くない面はこれで一通り終わったので、次はプログラムに欠かせない美味しいレシピや調理のコツをご紹介します。
特定の調理器具があれば、Whole30中の野菜や肉の下ごしらえがぐっと楽になる
Whole30プログラムには、簡単で楽しいレシピがたくさんあります。でも、より手間を省きたいなら、そろえておくと便利なキッチンツールがいくつかあります。まず、美味しい野菜料理を作るのに役立つ器具をいくつかご紹介しましょう。にんにくをみじん切りにするのがどんなに面倒か、誰もが知っています。そこで、細かい作業は避けて、ガーリックプレスを手に入れましょう。
にんにくを包丁の腹でつぶして皮をむき、ガーリックプレスにセットするだけ。ほら、もうできあがり! もうひとつ便利なのが、高品質のフードプロセッサーです。フードプロセッサーを使えば、野菜のかたまりなどを、ミキサーを使うときのように水分を足さなくても、そのままソースやマッシュ状に変えられます。千切りピーラー(千寿ピーラー)も、野菜の下ごしらえを格段に簡単にしてくれます。長くて細い野菜のリボンが作れるので、野菜ヌードルもあっという間です。
野菜の準備が整ったら、次は肉の調理に必要なツールを考えましょう。肉は適切な温度で調理することが不可欠ですが、中心まで火が通ったかどうかを経験だけで見極めるのは大変です。そこで、便利な肉用温度計を使って安全に「ちょっとズル」してはいかがでしょう? さらに簡単にするために、Whole30のレシピにはすべて肉の適切な調理温度が記載されています。最後に、肉たたきを買っておくのも賢い選択です。
ハンマーのような見た目で、焼いたりグリルしたりする肉の塊を、これでしっかり叩きます。肉の筋繊維がほぐれて柔らかくなるだけでなく、肉の厚みが均一になるので、火が均等に通ります。薄い部分が焼きすぎ、厚い部分が生焼け、なんてことにならなくて済みます!
Whole30の食事は計画的に、そしてたっぷりの量を作ろう
人生において、計画を立てておくことは常に賢明な一手です。そうすることで、成功率がぐんと高まります。料理においても、この姿勢は驚くほどの効果を発揮します。時間をとってレシピの段取りを組むことが極めて重要です。調理を始める前に、必要な材料、保存容器、調理器具をすべてキッチンカウンターに並べておきましょう。
肉類は使うときまで冷蔵庫に入れておきます。そして、調理がスムーズに進むように材料を使う順番通りに並べておくことも賢い方法です。たとえば、チキンスープを作るとしましょう。まず、刻み玉ねぎ、スパイス、にんにくを一つのボウルにまとめます。次に、別のボウルに刻んだピーマンとトマトを入れておきます。冷蔵庫から鶏むね肉を取り出して火を通したら、あらかじめカウンターに出しておいたさらにもう一つのボウルに入れます。
最初のボウルの材料を鍋に加え、次に2つ目のボウルの中身を、最後に肉を投入します。これが、洗い物がほとんど出ないシンプルな調理法です。また、Whole30のレシピはしっかり量を作ることも大切です。このプログラムの目的は食べ物で自分を制限することではありませんから、量は気前よくたっぷりめに作ってかまいません。たとえば、Whole30のレシピには150グラムのステーキと書いてあるかもしれませんが、それはある人には多すぎ、別の人には足りなすぎます。ですから、必要に応じてレシピの量を調整してください。
一度に食べきれなくても、たくさん作っておけば翌日もたっぷり食べられるので、多めに作るほうが良い場合が多いのです。Whole30プログラムは、タンパク質を通じて栄養を届けることに重点を置いているため、十分な量を摂取することが欠かせません。さあ、調理を始める準備は整いました。これから、基本となる2つのレシピをご紹介します。
プロテインサラダはWhole30の基本レシピ
外出先でさっとつまめるプロテインスナックがあると、とても重宝します。多くの人はエナジーバーに手を伸ばしたくなりますが、食事としてとるなら、もっと栄養を補給できるものを選ぶことが重要です。ここでWhole30プロテインサラダの出番です。一般的に、サラダと聞くと健康的だと思う人が多いでしょう。しかし、ただレタスをボウル一杯に食べるだけでは、それは健康的とは言えません。
繰り返しになりますが、目標は自分を制限することではなく、しっかり栄養をとること。そのボウルにたっぷりタンパク質を加えましょう! ランチにプロテインサラダを食べれば、午後いっぱい満腹感が続き、空腹をしのぐためにお菓子に手を伸ばす必要がなくなります。コツは、数日分をまとめて大量に作っておくこと。ただし、プロテインサラダは美味しいので、気をつけないと予定よりもずっと多く食べてしまうかもしれません! 大量に作るなら、好きなタンパク質源を450グラム選んで、一口大に切ります。
たとえば卵や、スモーク、あるいは缶詰の魚などが良質なタンパク源です。大きなボウルを用意し、マヨネーズまたはワカモレ大さじ4、酢大さじ2、塩・こしょうひとつまみをよく混ぜ合わせます。しっかり混ざったら、サラダリーフと切ったタンパク質を加えます。これがサラダのベースになります。ここからバリエーションは無限大。オリーブ、ドライトマト、イチジク、セロリ、松の実、パセリを加えて地中海風にしても良いし、もうひと工夫して、いつもと違う材料を加えてみてはどうでしょう?
ラズベリー、ブルーベリー、カシューナッツなどもおすすめです。秋らしさを出すなら、リンゴのスライスやローストしたカボチャ、レーズン、クルミを入れてみてください。これらの材料を常備し、お気に入りのドレッシングを選んでおけば、ぱっと作れてしまいます。試せるバリエーションはたくさんあり、選んだ材料の量も自由自在。このサラダを作るのに制限はまったくありません。ただし、450グラムのタンパク質を入れることだけは忘れずに。
Whole30ブレイズドビーフブリスケット(蒸し焼き) にはスロークッキングの選択肢も
大盛りのパスタが無性に恋しくなったら、このビーフブリスケットのブレイズド(蒸し焼き)がその代わりになるかもしれません。このレシピは約680グラムのブリスケットを使います。塩、こしょう、バター以外のお好みのクッキングファット、みじん切り玉ねぎ半分、にんにく4片、フレッシュタイム、ビーフブロス1.25リットルを準備します。
まず、オーブンを180℃に予熱します。厚手のオーブン対応フライパンにクッキングファット大さじ3を入れて熱し、十分温まったら牛肉を投入します。両面を数分ずつ焼き色がつくまで焼いたら肉をいったん取り出し、脇に置いておきます。フライパンの火を中火に落とし、刻み玉ねぎを2〜3分炒めます。1分経ったらにんにくを加え、さらに1分後にタイムとブロスを加えます。沸騰し始めるまで火を強めます。
ブリスケットをフライパンに戻し、今度はフタをしてオーブンに入れます。そのまま4時間、1時間ごとにひっくり返すのを忘れずに。火が通ったら、肉をボウルに取り出します。フライパンに残った液体をすべてミキサーに注ぎ、なめらかで濃厚なソース状になるまで撹拌します。それをフライパンに戻し、さらに5分煮込みます。ブリスケットと合わせれば、上等なビーフのできあがりです。
ブレイズドビーフブリスケットは、スロークッキング(低温調理)でも作れます。仕事から帰るとすぐに温かくて美味しい食事が待っているのは理想的ですよね。その準備法は、朝のうちにすべての材料をスロークッカーに入れておくだけ。この方法だと必要な水分は少なめで、肉がかぶるくらいの量で十分です。あなたが仕事に出かけている8〜9時間、ブリスケットをゆっくり調理してもらいましょう。帰宅したら、ミキサーと鍋で手早くソースを作るだけです。この二つのレシピが示すとおり、Whole30はあなたの健康に素晴らしい効果をもたらすだけでなく、バラエティ豊かで体に優しい美味しい食事の世界も紹介してくれます。
最後に
この本の核心メッセージ:「あなたはあなたが食べたものでできている」という有名な格言があります。 ですから、原因不明の不調に悩まされたり、いつもよりエネルギーが出ないと感じたことがあるなら、Whole30プログラムがまさにあなたに必要なものかもしれません。 30日間、健康問題を引き起こしている可能性のある食品群を食事から一掃します。 意識的な食事と、問題を起こさない食材をゆっくりと再導入することによって、あなたは全般的な健康とウェルビーイングへの道を歩み始められるのです。
実践のためのアドバイス:外食時もWhole30のルールを守りましょう。 自宅にいるときはプログラムを守るのは比較的簡単ですが、外食のときはどうでしょう? 事前にレストランのメニューを調べておくのが、食事プランを守るコツです。注文の際には、必要なことを遠慮なく伝えましょう。自信を持って、しかしスタッフの方への敬意と礼儀正しさを忘れずに、一歩踏み込んだ対応をお願いしてください。
おすすめの関連書籍:『Nutrition and Physical Degeneration(栄養と身体の退化)』 ウェストン・A・プライス著
世界中の先住民族との交流に基づき、地元の自然食品だけを食べている人々と、加工食品を食生活に取り入れ始めた人々の健康状態を比較した一冊。後者は歯、身体、脳に問題を抱えていた一方で、前者は強く活力に満ちていたと著者は述べています。加工食品と自然食品の違いを調査した結果、加工食品中心の食生活には健康な身体を維持するために不可欠なビタミンやミネラルが欠けている、と本書は論じています。





