『4秒間』(2015年)は、職場、家庭、人間関係における自滅的な習慣を断ち切るための具体的な方法を紹介する一冊だ。4秒間のポーズ(間)を取ることで、性急で不幸な反応を和らげ、他者とのコミュニケーションの取り方やフィードバックの受け取り方を見直す第一歩を踏み出せる。まずひと呼吸置くだけで、本当にどんなことにも備えられるようになるのだ。
本書のポイント:成功は、たった4秒先にある
息を吸って、吐いて。ひとつの深呼吸に必要な時間は4秒間。この4秒間が、あなたの意思決定の質を大きく左右する。ストレスは私たちを自滅へと導く。例えば、重要な出来事への準備を忘れたり、周囲の人と口論になったりするのだ。
ピーター・ブレグマンは『4秒間』の中で、この4秒間の深呼吸によって自分自身に「よく考え直す」時間を与えることで、逆効果な習慣を好転させ、望む結果を生み出す方法を説明している。人とのつながりを生む有益な習慣はどうすれば身につくのか?仕事の習慣を最適化するにはどうすればいいのか?本書ではこうした問いへの答えとともに、以下のことも明らかにしている。
- 目標がなぜ不正行為につながるのか
- なぜ「聞くこと」が最強のコミュニケーションツールなのか
- なぜ成功を常に共有すべきなのか
良い習慣を築くには、立ち止まり、呼吸し、注力領域を定める
ストレスの多い状況で、自分の反応が余計に事態を悪化させてしまった経験はないだろうか。多くの人はストレスに対し、怒鳴ったり誰かと口論を始めたりといった、自滅的で逆効果な方法で反応してしまう。では、こうした非生産的な行動を、時間・エネルギー・心の平穏を守る習慣へと変えるにはどうすればいいのか。その第一歩が、立ち止まり、4秒間呼吸することだ。
4秒間とは、深呼吸をひと呼吸するのに必要な時間だ。立ち止まり呼吸することで、より良い決断を下せる状態になり、行動を起こす前にその結果を考える余裕が生まれる。たとえば、子供が学校に行く前に歯を磨くのを拒否しているとしよう。今週に入ってこれで3回目。怒りが込み上げてくるのを感じ、そろそろ堪忍袋の緒が切れて怒鳴ってしまいそうだ。しかしそこで、ぐっと堪え、立ち止まり、呼吸するのだ。
そうすると、少し心が落ち着き、頭がクリアになる。もしかしたら、怒鳴るという逆効果な反応に屈する代わりに、歯磨きをゲームにするようなアイデアさえ浮かぶかもしれない。4秒間の呼吸に加えて、ストレスの多い状況では「目標」ではなく「注力領域」を定めるのも良い手だ。目標設定には、ごまかしや不必要なリスクを取るという誘惑がつきものだが、注力領域であれば、そういった負の誘惑を伴わずにやる気を高めてくれる。たとえば、あなたがある商品を販売する店を経営しているとする。近年、あなたの目標は売上を伸ばすことだった。
しかしその結果、一部のスタッフは売上しか考えなくなり、商品の特定の機能について嘘をつくなど、疑わしい方法で目標を達成しようとするようになってしまった。だが今年、あなたは「お客様ともっと話す」という注力領域を設定した。その結果は?年末になって、売上を伸ばすことよりもお客様に向き合うことに集中したことが功を奏し、売上が伸びていたのだ。
日々の準備は、解決策ではなくプロセスにフォーカスする
忙しい世界に生きる私たちは、人生で降りかかるあらゆることに備えておく必要がある。実際、その日の準備を怠ると、時間を無駄にする大きなミスにつながりがちだ。たとえば、朝の会議の準備をしないまま出社し、そこで初めて、自分が司会を務めることに気づくとしよう。先週決まったはずのことをすっかり忘れていたのだ!もちろん議題も読んでいない。さらに悪いことに、部屋には初対面の二人の新人もいる。
完全に不意を突かれたあなたは、会議の日程を変更せざるを得ないと判断する。その結果、関係者全員の時間が無駄になってしまう。では、予期せぬ出来事に備えるにはどうすればいいのか。その秘訣は、「解決策」ではなく「プロセス」を準備することだ。予測不可能な出来事に対する解決策をあらかじめ用意しておくことは不可能だが、不確実な状況を乗り切るための準備はできる。そのためには、次の3ステップのプロセスを使おう。準備していなかった状況に直面し、突然決断を迫られたときに役立つはずだ。
第一に:立ち止まり、4秒間深く呼吸をして、考える。たとえば、ボートでセーリング中に嵐に遭遇したら、呼吸をして、考える。次に、選択肢を検討する。自分に利用できるリソースと情報を踏まえて、望む結果を得るにはどうすればいいのか、自問するのだ。この場合、選択肢は二つある。そのまま航海を続けるか、急いで陸へ引き返すか。最後に、決断を下し、それを貫く。
自分にこう言い聞かせよう。「理想的ではないかもしれないが、状況を考えるとこれが最善の選択だ」と。嵐はすぐに過ぎ去り、引き返せば風がさらに激しくなるという判断に基づき、あなたは航海を続ける決断をする。時々4秒間立ち止まり呼吸するだけで、ストレスを和らげ、どう進むべきかを考える態勢が整うのだ。
コミュニケーションを改善するには、メッセージの内容に集中し、口論を避ける
相手がどういう伝え方をしたかに気を取られ、メッセージの内容に集中できないことは、どれくらいあるだろうか。声のトーンや攻撃的なボディランゲージが気になってしまうのだ。私たちのほとんどはかなり下手なコミュニケーターであり、コミュニケーション習慣を改善するには、まずこの事実を認める必要がある。メッセージをより深く理解するために、その「パッケージ」ではなく「内容」に集中する習慣を、意識的に身につけよう。たとえば、あなたが就職面接を受け、合否を知らせる電話を採用担当者から待っているとしよう。
しかし数週間後、あなたが受け取ったのは不採用を知らせるメールだった。採用担当者が直接電話すらしてこなかったことに、あなたはかなり落胆する。だが、この反応はほとんど役に立たない。そのパッケージばかりに注意を向けるのではなく、深呼吸をして、メールに実際に何が書かれていたのかを読み直してみてはどうか。メッセージの中に価値を見出すのだ。たとえば、組織内の他の機会について言及していないだろうか。
落ち着いたら、あなたを動揺させた手段とは別の手段で返事をしよう。つまり、メールではなく電話をかけるのだ。コミュニケーション改善のためのもう一つの貴重なヒントは、口論をやめることだ。口論は、単に優位に立とうとしているに過ぎない。たとえ自分の見方に欠点があることに気づいたとしても、口論の真っ最中に突然それを認めることはまずないだろう!結果は絶望的だ。お互いが自分の意見に固執し、明確で有益なコミュニケーションは不可能になってしまう。
代わりに、あなたが持っている最高のツールを使うべきだ。それは「聞くこと」である。聞くことは相手を脅かさない素晴らしい戦術だ。むしろ、相手は「話を聞いてもらえた」と感じ、あなたの話を聞こうという興味を持つようになる。だから、自分の主張をしっかり伝え、相手を説得したいなら、口論をやめて、聞くことから始めよう。
人間関係を強化するには、期待しすぎないこと。周囲への感謝に目を向けよう
超接続時代の現代、私たちは実にさまざまな人々とコミュニケーションを取っている。自分と似た人もいれば、大きく異なる人もいる。いずれの場合も、相手の言動に驚かされることは珍しくない。しかし、問題は相手ではなく、相手に期待しすぎる自分自身の習慣にあるかもしれない、と考えたことはないだろうか。期待の仕方を変えることができれば、周囲の人との関係を強化できることに気づくだろう。
自分ならこう言う、こうする、ということを相手にも期待しても、うまくいかないのが普通だ。誰もあなたのコピーではないのだから!相手が望むように接する方が、はるかに健全な習慣である。そうすれば、相手があなたの基準を満たせずにがっかりすることもなく、あなたが苛立つこともなくなる。人間関係をさらに強化するには、相手のどんなところに感謝しているかを相手に伝えよう。ビジネスの世界でも私生活でも、贈り物やボーナスそのものが、贈る側からの感謝の気持ちを伝えると誤解していることがよくある。しかし、そうではないのだ。
ある日出社すると、机の上に封筒があり、中にボーナスが入っている。しかし、手紙は添えられていない。そんな状況を想像してみよう。おそらくあなたは、そのボーナスを仕事の成果に対する報酬と捉えるだろうが、人としての自分が認められたと感じられるだろうか。おそらくそうは感じないはずだ。感謝はボーナスや豪華な贈り物などの「物」ではなく、人を通して表現されるものだからである。したがって、物を贈る習慣を、相手に「そのままのあなたに感謝している」と伝える習慣に置き換えよう。あなたのためにしてくれた親切や、組織への貢献に対する感謝ではなく、ありのままの存在に対する感謝を伝えるのだ。そうすることで、相手は尊重され愛されていると感じ、関係が深まるだろう。
仕事で最大の成果を得るには、失敗を受け入れ、成功を共有する
仕事をしていると、新しい言語や新しい技術スキル、マネジメント手法など、私たちは常に新しいことを学び続けている。しかし、自分や他人の学びを妨げる悪い習慣に陥ってしまうことも多い。では、どうすればこれを止められるのか。まず理解しなければならないのは、何かを学ぶためには、失敗する機会が必要だということだ。
学びとは完璧であることではない。むしろ正反対だ。失敗に気づき、それに応じて調整できることが学びなのだ。たとえば、あなたが息子に自転車の乗り方を教えているとしよう。息子がふらつくたびに、あなたは飛び込んで支えてしまう。数週間経っても、息子はまだ自転車で安定して走れない。なぜだろうか。
バランスを崩して転ぶ機会がなければ、体勢を立て直し、バランスを保ち、自分で自転車に乗ることを学べないのだ。これは組織のマネージャーにも同じことが言える。マネージャーとして組織を守らなければならないが、失敗と自己回復の機会を遮断することは、従業員に新しいスキルを身につけさせ、仕事を改善させたいのであれば、弱い戦略だ。重要な会議で従業員が苦戦していたら、あなたの期待と比較して彼らがどうだったかを評価し、彼らがこの経験から何を学べるかを考えるべきだ。失敗の余地を作ることに加えて、仕事の習慣を最適化したいなら、成功を共有する準備も必要だ。なぜなら、組織やベンチャーの成果は、一人の働きだけに帰するものではないからだ。
また、成功に貢献したと知ることは非常にやる気を高める。やる気が出れば、より効果的に働ける。したがって、成功をたたえる際に一人か二人だけを称賛する悪い習慣を捨てよう。代わりに、全員が自分も貢献したのだと認識できるようにするのだ。
ネガティブさを中和し、批判を受け入れることで、仕事の習慣を最適化できる
ネガティブに振る舞ってしまうのは、誰にでも時々あることだ。家庭でも職場でも、サッカーの試合で熱くなるときでも、私たちには好ましくない一面がある!しかし、ネガティブな感情を持ち続けていては、ベストを尽くすことはできない。どうすればこれに対処できるか見ていこう。
まず始められるのは、誰かのネガティブな感情に逆らって反応しないことだ。そうしてしまうと、相手は自分の感情を否定されたと受け取り、ネガティブな感情に固執してしまう。ネガティブに傾きがちな従業員たちの例を見てみよう。マネージャーはボーナスの可能性について大げさに前向きに話したり、彼らの不機嫌さが自分のエネルギーを消耗させると否定的なコメントをしたりして反応していた。何も変わらなかった。より良い反応の仕方は、当人と共に向き合うことだ。それには3つのステップがある。
まず第一に、相手のネガティブな感情を理解していることを示す。次に、自分も以前同じように感じたことがあるなら、それを伝える。最後に、相手が間違っているとは言わない。むしろ、相手が前向きになれることを探り、そこに焦点を当てる。これらのステップは、相手のネガティブさを中和する効果がある。上記のステップを補完し、職場のポジティブさを促進するもう一つのツール、それが「批判を受け入れる」ことだ。
そのためには、批判を防御態勢を取らせるものではなく、贈り物として捉えることだ。批判を受けたら、次のようにしよう。傷ついたり怒ったりしている自分を認める。そして、その感情を脇に置く。次に、批判をしてくる人が最高のコミュニケーターとは限らないことを認識し、パッケージではなく実際のメッセージに注意を向ける。
それから、同意も反論もせず、中立的な立場を取るようにする。そして、ただ情報を集めるつもりで耳を傾ける。最後に、少し間を置いてから相手の言葉を検討し、何をどう変えることができるかを、少し時間が経ってから決める。
まとめ
本書の核心メッセージ:悪い習慣の支配力を弱めるのに必要なのは、たった4秒。深呼吸をひと呼吸する時間だ。 このマイクロ・ポーズを取ることで、気持ちを落ち着け、考えをまとめ、自分に損ではなく益となる行動を取る準備ができる。 批判を受けたり、気の重い同僚に対処しなければならないときも立ち止まり、ネガティブな空気を好転させよう。 実践のヒント:伝え方ではなく、内容を選ぶ。
誰かの言葉で血が沸騰しそうになったら、その伝え方ではなく内容を聞くようにしよう。何を言っているかに真剣に耳を傾ければ、相手が実際に伝えたかったメッセージが浮かび上がってくる可能性が高くなるはずだ!感謝の一言には大きな効果がある。ビジネスのマネージャーやプロジェクトのリーダーなら、成功には全員が貢献していることを忘れず、成功を皆で共有しよう。その最善の方法は、無機質な物質的報酬ではなく、実際に言葉を交わすことだ。そうすることで、関わる全員が今後もベストを尽くし続けようという気持ちになるだろう。
関連書籍のおすすめ:カーソン・テイト著『ワーク・シンプリー』 『ワーク・シンプリー』(2015年)で著者のカーソン・テイトは、自身のキャリア経験に基づき、より生産的になる方法を示している。自分の生産性スタイルを理解することで、増え続けるタスクをより楽にこなし、人生の目標を達成できるようになる。ご意見をお待ちしています!本コンテンツについてのご感想をぜひお聞かせください。





