『自分の偉大さをわがものにする』(2020年)は、常に自分を偽物のように感じている人のためのガイド付きワークブックです。リサ・オーブ=オースティン博士とリチャード・オーブ=オースティン博士の専門知識をもとに、インポスター症候群を引き起こすトリガーや習慣、思考を特定して克服し、自己不信を断ち切り、人生で成功できるよう導きます。
本要約から得られること:インポスター症候群を克服するためのステップバイステップガイド
自分の成果をいつも「大したことない」と片付けていませんか? 自分の無能さが誰かに見抜かれるのでは、と不安になりますか? どんな小さな仕事でも完璧を求めて働きすぎたり、「自分はまぐれや人当たりの良さでここまで来ただけで、実力ではない」と感じたりしていませんか?
どれか一つでも心当たりがあれば、あなたはおそらくインポスター症候群に悩んでいます。1970年代にポーリン・クランスとスザンヌ・アイムズという二人の科学者によって初めて提唱されたこの言葉は、今では一般的に使われるようになりました。
人口の実に70パーセントが人生のある時点でインポスター症候群を経験すると言われます。しかし一部の人にとっては、こうした感覚は生活に支障をきたし、なかなか消えません。インポスター症候群は、キャリアの妨げになり、メンタルヘルスに影響を及ぼし、人間関係を損ない、燃え尽き症候群につながることさえあります。
長年にわたり公認心理師として活動してきた著者たちは、インポスター症候群を克服するための明確なステップを数多く開発してきました。
本要約では、さまざまな内省エクササイズを手がかりに、各ステップを順番に解説していきます。エクササイズを通して「対処カード」を作り、必要なときにいつでも見返せるようにしましょう。それらを組み合わせれば、自分を偽物だと感じるのをやめるための行動計画になります。
エクササイズには書き出す作業が必要なので、紙とペンを用意することをおすすめします。それでは、あなたの偉大さをわがものにする旅の第一歩へ進みましょう。
この要約で学べるのは、次の3つです。
- あなたの「インポスター・ストーリー」がどこから始まったのか、そしてどう語り直すか
- 自分の経験を誰かと共有し、サポートを得る方法
- 「アリ」が自己不信の克服にどう関係するのか
ステップ1:インポスター・ストーリーの原点を特定する
すべては、ある一つの物語から始まります。それは何度も繰り返し浮かびます。パーティーで、同僚とのランチで、朝のミーティングで。ただし、この物語はほとんど頭の中にだけ存在し、「自分はたいしてスキルがない」「みんなを騙しているに違いない」という内容です。
インポスター症候群を克服するには、この物語を書き換える必要があります。しかしそのためには、まずインポスター感情がどこから来たのかを理解しなければなりません。多くの人にとって、それは幼少期や家族関係にまでさかのぼります。
たとえば、非常に高い期待と「成果を出すこと」を重視して育てられたかもしれません。あるいは、家族を喜ばせ、家族のニーズを満たす役割を担っていたかもしれません。常にきょうだいと比べられたり、あなた独自のスキルが認められなかったりした可能性もあります。
最初のエクササイズの目的は、あなた自身のインポスター・オリジン・ストーリーを特定し、理解することです。ここでは過去を深く見つめてみてください。「自分についてどんな物語を信じるようになったか」「それが家族内での役割、競争に対する考え方、フィードバックの受け止め方にどう影響したか」を考えます。
エリザベスの例を見てみましょう。彼女のインポスター・オリジン・ストーリーはこうです。「家ではいつも『感受性が強い子』と言われ、兄と比べて『頭のいい子』とは見なされませんでした。そのせいで人を喜ばせたい欲求が強くなり、自分にあるスキルは評価されないと思い込んで無視するようになりました」。
次のステップに進む前に、時間を取ってあなたのオリジン・ストーリーを書き出してください。書きづらい場合は、この書き出しを使いましょう。「私のインポスター症候群を促した家族関係の力動は……」。その力動があなたにどんな影響を与えたか、結果も忘れずに書いてください。数文程度の短さで構いません。
先へ進む前に、あなたは長い年月、もしかすると何世代もかけて形成されたものを解体しようとしているのだと知っておいてください。この作業には時間がかかるかもしれませんが、その努力は十分に価値があります。
ステップ2:自分のトリガーを知る
おめでとうございます。ここで最初の「対処カード」、つまりあなたのインポスター・オリジン・ストーリーができました。これは次のステップであるトリガーの特定の土台になります。
トリガーとは、インポスター感情を活性化させたり強めたりする状況のことです。ここで押さえておきたいのは、トリガーは方程式の半分にすぎないということです。残りの半分はあなたの反応です。インポスター症候群に支配されていると、反応は自動的に生じがちです。
しかし、自動的なインポスター反応のループを断ち切る第一歩は、自分のトリガーを自覚し、トリガーとなる状況を予測して備えることです。そうして初めて、反応を変え始めることができます。
インポスター症候群を抱える多くの人が経験するトリガーの例をいくつか挙げましょう。昇進する、転職する。業績評価を受ける。重要なプレゼンテーションをする。ほめられる。新しい人間関係を始める。初対面の人に会うなど、慣れない社交の場に身を置く。
トリガーについて理解できたところで、2枚目の「対処カード」を作りましょう。このエクササイズでは、最近インポスターのように感じた覚えのある場面をすべて書き出します。時間を取って、その状況を説明してください。どこにいたか、誰といたか、何を言われたか、どう反応したか。
書き終えたら、それらの状況にパターンがないか探してみましょう。「私がトリガーされる状況、場所、人は……」という文を完成させてみてもいいですし、「トリガーされたとき、私はしばしばこう考え、こう感じる……」と書いてもいいでしょう。
ここでいったん手を止めて、エクササイズを完了させることをおすすめします。
よくできました! これで自分のインポスター・トリガーをしっかり理解できました。次は、物語の書き換えに役立つステップ3へ進みましょう。
ステップ3:物語を書き換える
「私がこの仕事を得られたのは、たまたま他に資格のある人が応募しなかったからだ。私は本当に詐欺師だ。採用を後悔させないためにも、もっと働かなければ」。
その疲れ切った古い物語を、そろそろ書き換えませんか。自分を別の見方で見るのが不可能に感じる日もあるでしょう。でもこのステップでは、より正確で肯定的な物語の作り方を学びます。
使う方法は、物語を「厚くする」ことです。どういう意味でしょう。インポスター・ストーリーの特徴は、歪んでいることです。単純で一面的で、多くの情報や文脈が抜け落ちています。つまり「薄い」のです。
先ほどのエリザベスに戻りましょう。彼女は育つ過程でいつも「感情的だ」と言われ、兄は「頭がいい子」と比べられていました。そのためエリザベスは自分は頭がよくないと思い込むようになり、代わりに周囲の感情的なニーズに応えることを学びました。
しかし、エリザベスの物語には抜け落ちていることがたくさんあります。実際には、彼女も兄も二人とも頭がいいのです。兄は物事が簡単にできるように見える一方で、エリザベスは新しいことを学ぶのに時間をかけます。彼女は理解するために勉強し、書き出す必要があるのです。
物語を厚くすることで、より複雑で、バランスが取れ、正確で、自分を肯定できる物語を作り出せます。
エリザベスの場合、彼女は「自分は頭がよくない」という物語に挑戦します。厚い物語の力の一つは、「あれかこれか」ではなく「あれもこれも」という思考です。彼女の新しい物語は、「感受性が高いこと」と「頭がいいこと」は両立しないのかと問いかけます。そして彼女が身につけてきた肯定的な戦略、たとえば会議でメモを取ることなどにも目を向けます。
では、この戦略をあなた自身に試してみましょう。ノートを取り出し、古いインポスター物語を一列に書き出します。隣の列に、それぞれの物語を厚くしたものを書きます。その物語はどんなスキルや成果を無視しているか。その物語のより大きな文脈は何か。何が欠けているか。
ステップ4:自分の真実を語る
物語を書き換え、インポスター症候群を克服するのを一人で成し遂げられる人はいません。この経験を内側にため込み、誰にも話さないままでいると、それはいっそう大きな力を持ちます。不思議なことに、自分の真実を言葉にして外の世界に出すというシンプルな戦略が、その支配力を弱めるのに役立ちます。
まず、人生の中で深く信頼できる人を一人か二人思い浮かべましょう。親友、同僚、配偶者、母親などで構いません。インポスター症候群を抱えて生きることがどんな感じか、どんな不安や恐れが浮かぶか、何がトリガーになるかを共有してください。
そうした相談相手も同じような感情を経験していることを知り、驚くかもしれません。あるいは、あなたのスキルや成果を鏡のように映し返してくれるかもしれません。そして、より多くの人に対してこの経験をオープンにする助けになるでしょう。
真実を語るということのもう一つの側面は、自分のスキルと成果をわがものにすることです。前のステップで見たように、インポスター物語はしばしば真実を隠し、あなたの実際の成果や得意なことを押しのけてしまいます。
その物語を覆すには、自分にはたくさんの才能があると認める必要があります。
このエクササイズでは、自分のスキルをリストに書き出してみましょう。あなたが優れていることは何ですか。あまり人に伝えていないことや、あまり評価されないことは何ですか。ここではスキルを広くとらえるのが有効です。感情的知性、対人スキル、コミュニケーション、身体感覚的スキル、音楽的・視覚的スキル、創造性など。
書くのが難しいなら、それも当然です。インポスター・ストーリーに長年、あなたの才能や賜物が隠され、小さく扱われてきたからです。きっかけを作るために、これを試してみてください。人生で誇りに思う達成を一つか二つ考えます。その達成にはどんなスキルが必要でしたか?
このスキルリストが4枚目の「対処カード」になります。自分の偉大さを思い出す必要があるとき、いつでも見返せる便利な一枚です。
ステップ5:ANT(自動ネガティブ思考)を黙らせる
きれいなピクニックを広げたところを想像してください。柔らかいパンの新鮮なサンドイッチに、色とりどりの果物が山盛りです。ワインを一口飲んでいると、突然アリが現れます。ブドウを丸ごと運び去り、タッパーに群がってきます。
この厄介な小さな生き物は、インポスター症候群に支配されているときに頭の中に群がるネガティブ思考に妙に似ています。どこからともなく現れ、侵入的で、大きな重みを持ちます。
ステップ5では、このANT(Automatic Negative Thoughts=自動ネガティブ思考)を黙らせる方法を学びます。なぜなら、それはあなたがインポスター・ストーリーを書き換え、自分について肯定的に考えるのを妨げるからです。
まず、よくあるANTをいくつか見ていきましょう。説明を聞きながら、どれが自分に当てはまるか考えてください。
- 心の読みすぎ:「みんな私を無能だと思っているに違いない」
- レッテル貼り:「自分はなんてバカなんだ。よくもあんなことをしてしまった」
- 先読み:「これがうまくいくはずがない」
- 破局化:「ミスをしたらクビになる」
- 不公平な比較:「ここにいる人はみんな私より有能だ」
- 全か無かの思考:「完璧でなければ失敗だ」
- 肯定的なことの割り引き:「あの褒め言葉は本心じゃない。ただの社交辞令だ」
5枚目の「対処カード」では、あなたが最もよく抱く、あるいは最も強い自動ネガティブ思考を書き出してください。それらはあなたのインポスター症候群にどう加担していますか?
次に、ANT撃退法を開発しましょう。
まず、それぞれのANTに挑戦的な質問を投げかけることから始めます。たとえば、破局化しやすいなら、「そうなるという証拠は何だろう?」「プレゼンが下手だっただけでクビになった人を一人でも知っているだろうか?」と問いかけてみましょう。将来、ANTが頭に入り込んできたときに自分へ問いかけられる「チャレンジ質問」のリストを書き出します。
最後に、それぞれのANTを肯定的な思考に置き換えます。たとえば、「ミスをしてもクビにはならない。フィードバックを受け取る機会になり、それで成長し、仕事をより良くできる」というように。
ステップ6:新しい役割を試す
ここまで来ると、自分についての考え方に変化を感じ始めていることでしょう。今度は、この新しい自分を行動に移すときです。
ステップ6は、詐欺師思考を支える役割を手放し、新しい役割を試すことです。まず、インポスター症候群を抱える人がよく演じる典型的な役割と、その代替案を見ていきましょう。
- 救い手(ヘルパー):いつも答えを持ち、みんなが頼るサポート役になるのではなく、自分から助けを求める「助けを求める人」になりましょう。
- スーパーパーソン:何でも一人でやろうとし、すべての責任を抱え込むのではなく、仕事を任せ、チームで働く「協働者」になりましょう。
- 失敗回避者:安全策ばかり取らず、「リスクを取る人」として計算されたリスクを取って新しいことに挑戦する方法を学びましょう。たとえ失敗するかもしれなくてもです。
- 黒子のリーダー:インポスター症候群にスポットライトを避けさせられるのをやめ、ときには「表に立つリーダー」になることを学びましょう。
新しい役割を演じるのは怖いかもしれません。鍵は、最初は軽やかに、遊び心を持って取り組むことです。これは試着のような実験です。古い役割を完全にやめる必要はありません。新しい役割をレパートリーに「追加する」と考えてください。それはいつでも選べる選択肢です。
また、最初はリスクの低い状況から始めるのも効果的です。たとえば、新しい役割を試す相手を一人決めます。その役割に慣れる時間を取り、それからリスクの高い状況に移りましょう。
ではエクササイズです。この「対処カード」では、あなたが試したい新しい役割をリストアップしましょう。それぞれの役割はどんな状況で特に役立つでしょうか。たとえば上司に対して、きょうだいに対して、読書会で、など。
ステップ7:ドリームチームを作る
最後のステップでは、この継続的な旅を支えてくれる人たちの「ドリームチーム」を作り始めます。このチームは、苦しいときにアドバイスをくれたり、耳を傾けてくれたりします。
チームに加えたい6人のメンバーを見ていきましょう。説明を読みながら、それぞれの役割を果たしてくれそうな人を一人か二人書き出してください。また、その人に連絡を取る状況や瞬間も特定しましょう。これが7枚目、最後の「対処カード」になります。
では始めましょう。6人のドリームチーム・メンバーは以下の通りです。
「チアリーダー」は、落ち込んでいるとき、罪悪感を感じているとき、古いパターンに戻りそうなときに、あなたを元気づけてくれる人です。友人、家族、信頼できる同僚であることが多いでしょう。
「グラウンダー(現実を思い出させてくれる人)」は、あなたが破局化したり、考えがぐるぐる回っているときに、現実チェックをしてくれる人です。理性的・現実的で、率直に話すことを恐れない人を選びましょう。
「アクションプランナー」は、問題解決が得意で、物事をステップに分解して計画を立てるのを助けてくれる人です。通常は同僚など、状況をよく理解している人です。
「大きな視点を持つ人」は、あなたをよく知る人です。些細なことに圧倒されているとき、人生でどこへ向かおうとしているのか、何を大切にしているのか、どんな人になりたいのかを思い出させてくれます。
「インポスターエキスパート」は、同じようにインポスター症候群に悩んでいる人や、セラピストやコーチなど専門的なトレーニングを受けた人でもよいでしょう。
最後に「メンター」は、あなたの分野でより経験が豊富で、キャリアを進み、前進するのを助けてくれる人です。
ここまで来られたことを祝福します! では、各ステップで作った「対処カード」をすべて集めましょう。全部で7枚あるはずです。これらは、インポスター・ストーリーに逆戻りしそうになったときに立ち返ることができるツールです。これらが一体となって、あなた専用の行動計画になります。
自分と自分の関係を変えることは簡単ではありません。でも想像できますか? それは、最高の人生を生き、もう偽物だと感じず、自分を信じているあなたの姿です。
まとめ
ここから覚えておいてほしい最も重要なことは、次の通りです。
努力は必要ですが、偽物だと感じるのをやめることは可能です。本要約では、自分のインポスター・ストーリーがどこから来たか、何がそれを引き起こすか、物語をどう書き換え、真実を語るか、自動ネガティブ思考をどう黙らせるか、インポスター的でない役割を試すこと、そして支えてくれるドリームチームを作ることを学びました。これらのツールを合わせることで、インポスター症候群を最終的に克服し、自分の偉大さをわがものにし始められるでしょう。
さらに実践的なアドバイス:セルフケアを最優先にしましょう。
自分を偽物だと思う人の多くは、それを埋め合わせようと、さらに根を詰めて働き、骨身を削って努力します。彼らは、どんなミスも完全な失敗だと考えがちです。こうした過剰労働と完璧主義は、インポスター症候群の人によく見られる燃え尽き症候群を簡単に招きます。だからこそ、セルフケアを最優先にすることが非常に重要なのです。瞑想、湯船にゆっくり浸かること、散歩、音楽を聴くこと、読書、新しい趣味を始めること、料理、友人と過ごすこと、昼寝、美術館に行くこと。あなたに喜びをもたらし、リラックスさせ、エネルギーを回復させてくれるものなら何でもいいのです。





