天性の才能不要!1日5分の“習慣化”で誰でもリーダーシップは身につく

『リーダーの習慣』(2018年)は、知識の丸暗記よりも実践と習慣形成を重視したリーダーシップ開発の方法を詳しく紹介しています。習慣がどのように形成されるかを理解し、優れたリーダーに必要なスキルを「マイクロ行動」に分解することで、短いトレーニングを通じてより良いリーダーになるための体系的なアプローチを提供します。

リーダーシップを身につけるには、大量の本を読むよりも実践と習慣化が近道

書店や図書館の自己啓発コーナーは、リーダーシップやマネジメントに関する本であふれています。玉石混交で、中には役立つエピソードや長大な理論が詰まった良書もありますが、実際にどう行動すればいいかという「実践」の部分が抜け落ちていることが多いもの。リーダーシップで本当に大切なのは結果です。

必要なのは、明確な指針とすぐに実践できるシンプルなスキルです。この要約では、日常のちょっとしたきっかけに応じて、たった数分のエクササイズでリーダーとしての習慣を身につける方法を紹介します。一歩ずつ新しい習慣を積み重ねることで、周囲の人や状況に自然と意識を向けられる、より良いリーダーへと変わっていけるのです。

この要約で学べること:

  • 不機嫌な顧客が本当に伝えたいこと
  • ピザの配達チームが一丸となって運転技術を向上させた方法
  • パフォーマンスの低いチームを見つけ、改善する手順

リーダーシップスキルは「学習された習慣」の集まりである

どんな分野で働いていても、リーダーシップスキルは重要です。会社のマネジメントだけでなく、家庭を切り盛りする場面でも違いを生みます。

では、どうすれば優れたリーダーになれるのでしょうか?

かつては「リーダーは生まれつきの資質で決まる」と考えられていましたが、研究によって否定されました。現在では、優れたリーダーの資質の70%が学習によって身につく行動だといわれています。その発見をきっかけに、1996年以降、リーダーシップ開発の本が急増しました。

しかし、それによって優秀なリーダーが次々と生まれたわけではありません。むしろ、この分野の注目度が高まるほど、アメリカ人のリーダーに対する信頼は低下しているという逆相関のデータさえあるのです。

本が役に立たないなら、どう学べばいいのでしょう? リーダーシップを「学べる知識」としてではなく、一連の「スキル」としてとらえることが大切です。スキルはエクササイズによって自動化された行動=「習慣」へと鍛えられます。

たとえば、救急救命室の看護師ローラは、何度も管理職への昇進を見送られていました。同僚からは、ぶっきらぼうで感情的、議論好きだと思われていたのです。つまり、リーダーにはほど遠い評価でした。

ローラは昇進のために著者のリーダーシップ開発プログラムに参加し、ある重要なエクササイズを習慣づけました。それは、「何が」「どのように」で始まるオープンな質問を同僚に投げかけることです。手にメモを書いて自分に言い聞かせながら続けると、相手の意見を尋ねるだけで驚くほど反応が良くなることに気づきました。人間関係が改善し、自信もついていきます。

あなたも同じように行動をちょっと変えることで、シンプルな習慣を身につけられます。やがてローラはメモがなくても自然に質問できるようになり、念願の管理職を得ただけでなく、友人や家族との関係まで良くなりました。適切なスキルを練習しただけの成果です。

では、どうやって練習すればいいのでしょう? 次からは、著者が提唱する「リーダー習慣フォーミュラ」を紹介します。5分程度の短いエクササイズで、リーダーに不可欠な習慣が身につく仕組みです。

複雑なリーダーシップスキルも「マイクロ行動」で簡単にトレーニングできる

新しいスキルの習得には時間がかかります。ピアニストが最初からソナタを通しで弾くのではなく、部分ごとに区切って何度も繰り返し練習するのと同じです。リーダーシップ開発も同様です。

著者マーティン・ラニックは「リーダー習慣フォーミュラ」を開発するにあたり、リーダーシップの中核スキルを特定し、それをさらに「マイクロ行動」に細分化しました。習慣とは、このマイクロ行動が無意識にできるようになった状態です。

どの習慣が最も重要かを確かめるため、ラニックの研究チームは世界の800人以上のリーダーを評価し、リーダーシップを「成果を出すこと」と「人に焦点を当てること」の2つのカテゴリーに分類しました。最も優れたリーダーは両方のスキルを持ちつつ、どちらか一方で特に秀でていました。

各カテゴリーには3つのスキル群が含まれ、合計22の中核スキルが6つのグループに分かれています。たとえば「成果を出すこと」に含まれる「計画と実行」のグループには、「優先順位の管理」「仕事の計画と整理」「適切な委任」「緊急性の創出」といった中核スキルがあります。

著者たちはさらに踏み込み、これらのスキルを最小単位まで分解し、最終的に22のスキルを構成する79のマイクロ行動を抽出しました。

リーダー候補がマイクロ行動をひとつずつ習得し、それらを「連鎖(チェイニング)」させていけば、複雑なスキル全体をマスターできるというわけです。

「優先順位の管理」を例に見てみましょう。このスキルを構成するマイクロ行動は、プロジェクトを具体的なタスクに分割する、タスクに重要度の序列をつける、完了までの所要時間を見積もる、優先順位の根拠を関係者全員に明確に伝える、といったものです。

これらをひとつずつ完全に自動化できるまで練習し、次のマイクロ行動へ進む。これが「チェイニング」です。チェイニングができるようになれば、チームや自分の生活における優先順位づけという、より難しいスキルも身についていきます。

「リーダー習慣フォーミュラ」はキュー・行動・報酬のサイクルで習慣を育てる

新年に「今年こそジムに通う!」と決意しても、多くの人は2月まで続きません。それだけ新しい習慣を身につけるのは難しいのです。

そこで役立つのが「リーダー習慣フォーミュラ」です。これは、「キュー(きっかけ)→行動→報酬」のサイクルを土台に、やがてほとんど努力せずに自動化された行動パターンを作り出すものです。

具体的には、マイクロ行動を特定のキューに結びつけ、簡単なエクササイズで習慣化を促進します。たとえば「他者に影響を与える」ためのマイクロ行動のひとつに、相手が口にしていない疑問をくみ取るというものがあります。

このマイクロ行動のキューは「誰かの不平不満を耳にすること」です。こうしたキューは日常の自然な流れで起こるため、紙に書いたメモよりも科学的に記憶に残りやすくなります。

あとはシンプルなエクササイズを実行するだけ。誰かが文句を言っているのを聞いたら、まずはその気遣いに感謝し、「具体的に何を望んでいるのか?」とストレートに尋ねてみましょう。たとえば、サブスクの延滞料金を1回だけ取られたと怒っている顧客なら、おそらく「今回だけはチャラにしてほしい」というのが本音です。

次に重要なのが、「内的報酬」を得られるマイクロ行動に集中することです。内的報酬とは、自分の性格に合っていて、やっていて自然と満足感が得られる行動のことです。

まずはオンラインの「リーダー習慣クイズ」で自分のパーソナリティタイプを把握し、伸ばしやすいスキルを知りましょう。たとえば、控えめだけど思いやりのあるタイプなら、「アクティブリスニング」が内的報酬を得やすい行動だと診断されるかもしれません。こうした内的報酬は、豪華な旅行やショッピングよりも個人にとって価値が高いことが研究で示されています。

「キーストーン習慣」は他の良い習慣を引き寄せ、自己イメージを高める近道

マイクロ行動の習得には平均66日かかります。79個すべてをひとつずつ学ぶと、14年以上かかる計算です。幸い、そこには「キーストーン習慣」と呼ばれる近道があります。ひとつのキーストーン習慣が、他の習慣の改善を連鎖的に促してくれるのです。

バージニア工科大学の行動分析学者たちは、ピザ配達ドライバーにシートベルト着用を促す研究の中でこの現象に気づきました。安全教育や標示の効果で、シートベルト着用率が上がっただけでなく、ドライバーたちはウインカーの使用も増えたのです。つまり、シートベルト着用が安全運転に関わる他の習慣を引き寄せるキーストーン習慣だったわけです。

リーダーシップにも応用できます。たとえば「意思決定力」を鍛えると、情報分析力など他のスキルも自然と向上します。実践では、「成果を出すこと」と「人に焦点を当てること」の両方からキーストーン習慣を選ぶと効果的です。

さらに、キーストーン習慣は自己イメージを高めるため、リーダーシップ開発を続ける意欲も湧いてきます。

ジョンの例を見てみましょう。彼は高圧的だと思われて昇進できずにいました。著者は、誰かが不満を示したら必ず相手の意見を尋ねる習慣をつけるよう指導しました。ジョンがただ耳を傾けるだけで、相手の懸念を尊重する姿勢が伝わり、次第に周囲もジョンの提案に耳を貸すようになったのです。

さらに面白いのは、このエクササイズが他のスキルも引き出したことです。昇進後、業績不振のディレクターに厳しいフィードバックをしなければならない場面で、ジョンは気まずい会話を本格的なコーチングセッションに変えていました。いつの間にかメンタリングのスキルも身につけていたのです。その後も、ジョンは影響力、交渉力、抵抗の克服といった能力を次々と開花させていきました。

タスク指向のスキルで成果を出せるリーダーになる

あなたは自分をタスク指向のリーダー、それとも人間指向のリーダーだと思いますか? まずチームを率いるには、確実に仕事をやり遂げる力が欠かせません。ここでは「成果を出すこと」に含まれる「仕事の計画と整理」というスキルに注目します。これは、チームが理解しやすい形で作業とリソースを割り振るスキルです。

まず必要なマイクロ行動は、詳細なプロジェクト計画の作成です。個々のタスクの責任者と明確な期限を盛り込み、次回の打ち合わせでは、チームに数分与えて実行可能なタスクと期限をひとつ提案してもらいましょう。たとえば「9月20日までに新しいパンフレットの草案を仕上げる」といった具合です。

次のスキル群は「問題解決と意思決定」。具体的には「情報分析」「解決策の検討」「良い意思決定」「顧客重視」です。情報分析に不可欠なマイクロ行動は「共通テーマを見つける」ことです。

試しに、直面している問題を箇条書きにし、数分かけて共通点を探してみてください。従業員同士の衝突、締め切りの遅延、見当違いの作業が同時に起きているなら、共通テーマは「チームの連携不足」だとわかります。

「成果を出すこと」の最後のスキル群は「変革のリード」。これは「ビジョンの共有」「革新」「リスク管理」に分解されます。より革新的になりたいなら、問題に対して「資金が無限にあったらどんな解決策が可能か?」と5分間ブレーンストーミングする習慣をつけてみましょう。空高く発想を広げるのです。

人間指向のスキルで信頼されるリーダーになる

優れたリーダーというと、天性のカリスマで人を動かす姿を想像しがちですが、それは天性のものではありません。練習次第で、あなたも人を動かせる存在になれます。

セントラルフロリダ大学の研究によれば、人間指向のリーダーは成果達成でわずかに有利だとされています。人間指向のリーダーシップには、「説得と影響力」「人とチームの育成」「対人スキル」の3要素があります。

「説得と影響力」は「影響力を与える」「個人の抵抗を克服する」「上手に交渉する」の3スキルで構成されます。ここでは「個人の抵抗を克服する」方法を見てみましょう。変化には反発がつきものです。チームメンバーが乗り気でない様子なら、まずは相手の懸念を認め、「何が心配ですか?」と尋ねます。具体的な課題に対処した上で、変化のメリットを強調し、お互いの意見が一致している部分を示せば、抵抗を乗り越えやすくなります。

「人とチームの育成」には「エンパワーメント(権限委譲)」「メンタリングとコーチング」「チームスピリットの構築」が含まれます。たとえば「エンパワーメント」が苦手なら、誰かが不満を口にしたとき、ただ救い出すのではなく、「あなたの気持ちはわかる。どう手助けしようか?」とサポートを示しながらも、相手の責任まで肩代わりしない習慣をつけましょう。

最後の「対人スキル」には、「戦略的関係構築」「思いやりの表現」「アクティブリスニング」「明快なコミュニケーション」「カリスマ的な話し方」があります。カリスマ的に話すのは難しくありません。想像力をかき立てる表現を心がければいいのです。たとえば、新しい歯科衛生アプリを売り込むなら「歯のFitbitのようなものです!」と生き生きとした比喩を使ってみてください。

良い習慣を一歩ずつ積み重ねることで、世界トップクラスのリーダーに必要な行動ネットワークが自然とできあがっていきます。

まとめ

重要なポイント:

リーダーシップは天性の才能や専門知識ではなく、特定のキューに結びついた「マイクロ行動の習慣」の集まりとして理解するのが最も効果的です。状況への反応を変えることで、模範的なリーダーシップスキルを身につけられます。1日5分で十分です。チェイニングの力とキーストーン習慣を活用すれば、開発スピードが加速し、自己イメージも改善され、成果を出せるリーダーへと成長できます。

実践的なアドバイス:

チームビルディングを日常習慣にしてチームスピリットを育てる

結束力の高い成功チームを作るには、日々の習慣としてチームビルディングを取り入れましょう。次に誰かと対面かメールでやりとりするとき、5分だけ時間を取り、その人がつながると有益だと思う別の人を紹介してみてください。仕事上でもプライベートでも構いません。なぜその出会いが楽しいと思ったかを添えるだけで、チームの絆は強くなります。

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