アリストテレスに学ぶ賢い経営術——野中郁次郎×竹内弘高が解き明かす、不確実な時代の企業戦略

『賢い会社』(2019年)は、著者の前著『知識創造企業』の続編です。急速に変化し混沌とした市場が新たな常識となった21世紀において、成功するビジネスを運営するための手法と実践を紹介します。

この本から得られるもの:予測不可能な市場で、持続可能な成功を収める方法を学ぶ

今の時代、確かなことなどほとんどない。企業が従来の市場調査や安定した収益源に頼れた時代はとうに終わった。扱うデータ量はかつてなく増えているが、予測不能な市場で成功するには、知識や賢さを別のかたちで活かす必要がある。

賢い会社を経営するとは、環境や顧客ニーズをよりパーソナルなレベルで理解することだ。自分の経験を信じ、社会と調和して存在するよう努めること。つまり、利益だけではないのだ。この要約では、次のようなことが学べる。

  • アリストテレスが賢いビジネス実践について教えてくれること
  • マキャベリが誤解されているかもしれない理由
  • 賢いリーダーがなぜ権限を分散させるのか

現代の企業が直面する三つの主な問題

1995年、著者たちは影響力のあった『知識創造企業』を発表し、日本を代表する成功企業のビジネス慣行を明らかにした。この本はいまなお古典とされている。しかし、1995年から多くが変わった。

その本の核心はナレッジマネジメントだった。統計やデータのような形式知と、経験を通じて得られる洞察である暗黙知の両方をどう活用するかを説いた。しかし、今日では知識はより身近で、大量に、グローバルに、そして複雑になっている。だからこそ、知識をより賢く活用する方法に焦点を当てるべきだ。ここで伝えたいキーメッセージは、現代の企業が直面する問題は主に三つあるということだ。知識があふれていても、企業はなお失敗している。

かつて巨象だったコダック、サーキット・シティ、ゼネラル・モーターズも膝を屈した。その理由は三つある。一つ目は、多くの経営幹部がデータや数値、分析式といった形式知に過度に依存していることだ。形式知は、たとえば自動車メーカーに顧客が望む価格帯を教えてくれるかもしれないが、顧客が求める機能や体験はほとんど教えてくれない。さらに言えば、形式知だけでは変化を乗り切れない。

第一に、形式知は文脈を欠く。また、「すべてに通用する」解があると思い込ませてしまう。そうではなく、企業は社会現象を理解しなければならないが、数字だけを見ていては難しい。第二に、企業は自らが創り出したい未来を考えなければならない。成功し持続可能であるためには、自社が社会的な存在であることを認識する必要がある。ビジネスには社会的な影響があり、それを使命の一部として考慮しなければならない。

ホンダの創業者、本田宗一郎を例に挙げよう。低排出ガスエンジンを開発していたとき、彼は「ビッグスリー(フォード、GM、クライスラー)を倒す」という使命を掲げていた。だが、エンジニアたちは「子どもたちのためにより良い世界をつくるエンジンを開発する」という別の使命を持っていることを知った。本田はエンジニアたちの方が正しいと悟った。

そして自らを恥じ、引退を表明した。ここから最後の理由が導かれる。賢いリーダーの必要性である。賢いリーダーは、今この瞬間に起きていることを文脈化し、ためらわずに正しい行動をとれる人だ。そして何より、社会と調和した倫理的なビジネスを率いながら、顧客に卓越した価値を提供できる。

過去の哲学者を振り返ると、知の実践とは何かが見えてくる

価値ある知識を得るだけではなく、知の実践に焦点を当てるべきだ。その知識を得たあと、正しい行動とは何か? この問いの答えのため、少し哲学的に考えてみよう。知識を持っていても、それを良いことに活かさなければ意味がないではないか。

そして、どのような知識が良い決断をもたらすのか。偉大な思想家たちは常にこの問いと向き合ってきた。古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、著者たちが知の実践の根幹とみなすフロネシスという概念を最初に打ち立てた。ここでのキーメッセージは、過去の哲学者を見れば、知の実践が何を伴うかがわかるということだ。フロネシスは一般に実践的知恵、つまり実践的行動の基盤となる知恵と定義される。アリストテレスが『ニコマコス倫理学』で述べたように、フロネシスには、健全な倫理的判断を下すために、現在の状況や文脈を注意深く理解することが求められる。

その判断は社会の改善に資するものでなければならない。だからこそフロネシスは、賢いリーダーシップの育成に完璧な土台となる。フロネシスとは行動文脈目的であり、それが最初の章で述べたのと同じ資質なのだ。アリストテレスの倫理に関する思想の多くは長年にわたり影響力を持ち続けてきたが、フロネシスの概念は必ずしもそうではなかった。しかし注意深くたどれば、後の思想、特に現象学プラグマティズムの伝統の中で生き続けてきたことがわかる。現象学は20世紀初頭にヨーロッパで起こり、ドイツの哲学者マルティン・ハイデガーが推進した。

ハイデガーは、私たちが今とる行動が未来を直接形づくると考えた。そしてその行動は暗黙知、つまり主観的な経験によって規定されるという。だから未来を最大限に活かすには、現在に生き、今ここから個人的で文脈的な知識を得なければならない。同様に、アメリカの卓越した哲学者ジョン・デューイのようなプラグマティストも、暗黙知と行動の結びつきを重視した。

実際、多くの現代哲学者は、賢い行動に通じる知性ある知識を得る唯一の方法は、自分の周囲の世界にどっぷりと浸かることだと考えている。賢いリーダーにとって、それは「今ここにいる」こと、つまり顧客の目で世界を見ようとすることを意味する。そうして、社会が今何を経験し、未来にどこへ向かうべきかを学ぶのだ。

持続可能であるために、賢い会社は社会にとって最善のものを考える

過去からもう一人、忘れてはならない人物がいる。オーストリアの経済学者カール・ポランニーだ。彼は心理学と経済学を結びつけ、私たちの行動を知らせる暗黙知の重要性を強調した。そして、自分たちの行動が周囲の世界に与える影響に注目した。ポランニーは、企業が社会的な制度であることを認識していた。

企業の行動は社会に影響を与え、社会の変化がビジネスに影響を及ぼす。ここでのキーメッセージは、持続可能であるためには、賢い会社は社会にとって何が最善かを考える必要があるということだ。今日、資本主義的思考のリーダーは、しばしば株主に焦点を当てる。もちろん、利益を上げて株主に価値を提供することは大切だ。しかし、それは人類にとって何が最善かという中核的使命と並行してなされなければならない。株主だけに集中すると、短期的思考に陥りやすい。

すぐに株主価値を生み出すような決断を下すようになる。だが、その行動が社会全体の助けにならなければ、長期的には有害になりうる。今日の賢い企業の一つがファーストリテイリングだ。ユニクロを展開し、創業者兼CEOの柳井正が率いる。賢いリーダーとして柳井は、利益だけを追う会社は長続きしないと知っている。永続する企業は、社会と調和して存在し、共通善を考慮する企業だ。

ファーストリテイリングには、効率的かつ持続可能であるよう設計された数々の取り組みがある。「全商品リサイクルイニシアチブ」がその例であり、その一環として「届けよう、服のチカラ」プロジェクトがある。2015年に始まったこのプロジェクトでは、毎年1000万点の古着を避難民の家族に寄付している。それでも世界には6000万人の難民がいることを考え、柳井は将来的にもっと多くのことをしたいと考えている。

結局のところ、企業の命運を最終的に決めるのは株主ではなく社会だ。もし企業が社会に貢献しなければ、繁栄する可能性は極めて低い。しかし、明らかな恩恵を提供できれば、社会はその企業を受け入れやすい。

本質をつかむには、個人的経験と細部へのこだわりが必要だ

賢いリーダーであり、知の実践を活かすには、本質をつかむ方法を知ることが大切だ。今、何が起きているのか? プランAとプランBの先にどんな未来が待っているのか? 賢いリーダーはこうした問いを素早く評価し、言語化し、行動に移せなければならない。

とりわけ、市場の変化が速く、対応をできるだけ早く考えなければならない現代において、それは重要だ。ここでのキーメッセージは、本質をつかむには個人的経験と細部へのこだわりが必要だということだ。トーストについて、あなたはどう思うだろうか。多くの人にとって、トーストを1〜2枚食べるのは日課だろう。しかし、完璧なトーストが何によって生まれるかについて、深く考えたことはあまりないかもしれない。バルミューダの創業者、寺尾玄は、たかが一枚のパンの力を身をもって知っていた。

そして、その個人的経験をもとに新しいトースターを開発し、世界的なブームを巻き起こした。最初の経験はスペインで、10代の寺尾が一人旅をしていたときのことだ。ある日、疲れと孤独を感じていた彼は、ふらりと入ったパン屋で食べたパンに涙が出るほどの感激を覚えた。それから何年も経ち、彼はガジェット製造会社を立ち上げていた。

2008年の金融危機のあおりを受け、経営は苦しかった。ある日、従業員を集めてバーベキューをしたとき、誰かが炭火で焼いたトーストをくれた。その瞬間、寺尾はスペインでの記憶がよみがえり、五感すべてが刺激された。その日、彼は従業員50人全員に「世界一のトースターをつくろう」と呼びかけ、全員が合意した。このプロジェクトのスローガンは「最高のトースターではなく、最高のトーストをつくる」だった。寺尾は、パン一枚が全身で味わえる体験であることを、他の人にも感じてほしかった。

妥協は一切しなかった。当初、炭火の焼き上がりを再現するのは困難を極めた。だが、誰かがその日は雨が降っていたと指摘した。そこで、水を入れるための小さなスペースが加えられた。

さらに温度の変数や湿度の調整、電圧の違いへの対応にも頭を悩ませた。何ヶ月ものテストの繰り返しと何千枚ものパンの末、ついに2015年、BALMUDA The Toasterが登場した。寺尾の細部へのこだわりが実を結んだ。彼は他の人にも完璧なトーストを体験してほしいと願い、トースターが200ドル以上したとしても、人々はその体験に追加料金を払ってくれたのだ。

人間同士の交流は、賢いリーダーが新しいアイデアを生み出すために不可欠だ

バルミューダのトースタープロジェクト成功の中心にあったのが場(ば)だ。「場」は大まかに言えばスペースや場所を意味する日本語で、人々が出会い、アイデアや情報が交換される領域を指す。これは重要だ。なぜなら、知の実践が社内で機能するにはアイデアが生まれなければならないからだ。

知識は企業内を外へ向かって螺旋状に広がり、関係者全員に届かなければならない。それが「場」を通して、人々を集めることで起こる。ここでのキーメッセージは、人間同士の交流こそ、賢いリーダーが新しいアイデアを生み出すために極めて重要だということだ。バルミューダのトースターでは、従業員バーベキューがひらめきのきっかけになった。これこそ「場」の好例だ。人々が入り混じり、交流し、飲み物や食べ物がある。

リラックスして、普段の職場環境では出さないようなアイデアを共有できる。しかし、フォーマルな交流の場もまた必要だ。経営層が連携を保ち、互いの価値観を理解し、状況の変化によってその価値観が変わるべきときを察知するためには欠かせない。ときにはバーチャルな場が目的を果たすこともある。2013年の福島第一原子力発電所のメルトダウン後、すぐに現地で放射線量の測定が必要なことが明らかになった。数日のうちに有志が集まり、ボランティア組織「Safecast」が結成された。

そのグループには、マイクロソフトの元ソフトウェアデザイナー、レイ・オジーも含まれていた。彼らはオンラインで活動を調整し、放射線データを公開する協調システムを構築した。その成功には、日々変化する複雑な問題に対処する柔軟性が求められた。また、専門家にコンタクトを取り、データを公開し、インターネットを活用して全員がつながり続けるというオープンな姿勢も必要だった。自分の組織に「場」を生み出すには、いくつかのシンプルな習慣が鍵になるだろう。たとえば、重要な情報から人々が遮断されていると感じさせないよう、オープンドアポリシーを取ること。

さらに、容赦ない正直さを実践し、社内の誰もがコミットする共有目的を確立することも大切だ。「場」はフォーマルにもインフォーマルにも、大会議のように大きくもプライベートな会議のように小さくも、対面でもバーチャルでもありうる。大事なのは、知識が流れていることだ。

賢いリーダーは物語とメタファーを通じて目的を伝える

どんなに強い目的意識を持っていても、それをうまく伝えられなければ先に進めない。同様に、会議やグループでの集まりをいくら設定しても、全員が同じ方向を向いていなければ企業の成功はおぼつかない。それが実現するためには、賢いリーダーが本質を伝える必要がある。幸い、リーダーがビジョンを共有し、同じ目的に向けて全員を束ねるための実証済みの方法がある。

ここでのキーメッセージは、賢いリーダーは物語とメタファーを通じて目的を伝えるということだ。レトリックは、昔から人々を動機づける強力な手段だ。リーダーなら誰でもレトリックを極めることで恩恵を受けられる。しかし、その鍵は自分自身や伝えたいメッセージを知っていることだけでなく、聴衆が何を聞きたがっているかを知ることだ。まず、人は物語が大好きだ。特に、理性、感情、倫理の三つに訴える物語に良く反応する。

そして、物語を語るとき、メッセージは長くなくてもよい。探検家アーネスト・シャクルトンの例を考えてみよう。彼は危険な南極探検に乗り出すクルーを募集する必要があった。彼のメッセージはたった二文だった。「危険いっぱい、賃金雀の涙、身の安全は保証しない。だが成功すれば、名誉と称賛が待っている」という内容だった。シャクルトンには何千もの応募が殺到した。

彼が期待されることについて率直かつ正直に語ることで人々の理性に訴え、成功すれば名誉と称賛が得られると約束することで感情と倫理に訴えたからだ。メタファーも心を動かすレトリックの優れた道具だ。日本の偉大な賢いリーダーの一人に、ホンダエアクラフトカンパニーのCEO、藤野道格がいる。ホンダは長年にわたり航空機づくりに野心を燃やしてきた。構想から黒字化までの道のりは長かった。

1986年に研究開発プロジェクトとして始まってから、利益が出るまでに30年を要した。チームのモチベーションを持続させるため、藤野はスポーツのメタファーを用いた。彼は自らのマラソンへの情熱について語った。走っているときは、道路脇の電柱に目を向けるというのだ。

そして、次の電柱まで頑張ろう、そのまた次の電柱、さらに次、と自分に言い聞かせる。この短い距離は達成可能に思える。そうするうちに藤野は、気がつけばゴールラインを越えているのだ。

賢いリーダーは時に、巧みな政治力で組織を鼓舞し駆り立てる必要がある

「マキャベリ的」という言葉を聞いて何を思い浮かべるだろうか。おそらく、邪悪で権力欲にまみれた策略家を想像するかもしれない。しかし、マキャベリの最も有名な著作『君主論』を正直に吟味すれば、その見方は当たっていない可能性がある。政治学者のリチャード・サミュエルズが指摘するように、賢い君主は必ずしも邪悪ではない。

高次の善に反対しているわけですらない。また、現下の状況が何を必要としようと進んで適応し、従う。確かに彼は目的が手段を正当化すると信じている。だが、常に確固たる道徳的基盤に立っている限り、彼の言い分は正しいのかもしれない。ここでのキーメッセージは、時に賢いリーダーは、組織を鼓舞し動機づけるために政治力を行使しなければならないということだ。状況をうまく切り盛りするには、時にマキャベリ的に振る舞い、狡猾さを用いることが必要かもしれない。

再び南極に目を向け、シャクルトンがいかにしてクルー全員を生還させたかを見れば、彼が常に本心を明かしていたわけではないことがわかる。シャクルトンはクルーの一人ひとりを注意深く観察していた。もし誰かが体調を崩しがちだとわかれば、全員に追加のホットミルクをふるまった。そうすれば、病気の者が快方に向かいやすく、彼らの不調がチームの士気を下げずに済む。

スティーブ・ジョブズもまた、人を動かすために異例の戦術を使うことで有名だった。伝記作家のウォルター・アイザックソンの言葉を借りれば、ジョブズには「現実歪曲フィールド」があった。彼は他人が現実と見なすものをあまりにも軽々しく退けるため、一見不可能に思えることを信じ込ませることができた。その好例が、iPhone用の非常に特殊なガラスを探していたときの出来事だ。

その探索で、彼はコーニング社のCEO、ウェンデル・ウィークスと出会った。ウィークスは、1960年代に「ゴリラガラス」というものを開発したが、市場がなかったためプロジェクトは棚上げになったと説明した。ジョブズは自らの直感を信じた。そのガラスの話を聞いた瞬間、これが解決策だと直感した。

そして彼は、コーニングに対し、6ヶ月でできるだけ多くのゴリラガラスを作るよう求めた。ウィークスはばかげていると思った。それは現在生産しているものではなかった。工場をこの製品のためだけに6ヶ月で転換するという作業は途方もないものだった。

しかしジョブズは動じなかった。「気持ちを切り替えろ。君ならできる」と返した。そして、彼らは本当にやってのけたのだ。

賢い会社は分散型リーダーシップを実践する

会社が成功を収めるためには、実践的知恵がCEOやエグゼクティブだけに限定されてはならない。賢いリーダーは自らの情熱、インスピレーション、そして何より知識を共有しなければならない。賢い会社はメンターシップや徒弟制度を実践し、リーダーシップの分散を奨励する。実践的知恵の中心的原則の一つは、その知恵を共有することだ。

賢いリーダーは、この知恵が他のエグゼクティブやマネージャーとのみ共有されればいいと考えてはならない。賢い会社では、全員がなすべきことを理解しているべきだ。実践的知恵はあらゆる階層で育まれなければならない。ここでのキーメッセージは、賢い会社は分散型リーダーシップを実践するということだ。冒頭で触れた本田宗一郎の例を思い出してほしい。彼のエンジニアたちは、自分たちが低排出エンジンに取り組んでいるのは、子どもたちのより良い未来のためだと説明した。

それを聞いた本田は、彼らが会社のリーダーになる準備ができていることを悟った。明らかに十分に育て上げており、しかも自分を超えていたのだ。本田は引退し、会社が優れた後継者に託されていると知って、安心して身を引くことができた。これこそ、賢いリーダーが望む未来である。彼らは社会との調和を通じて持続可能性を目指す。そして分散型リーダーシップを実践するとき、後継者もまた賢いリーダーになることを知っている。

トヨタもまた、未来を守るべくリーダーシップを分散している自動車メーカーだ。品質への責任はチームのメンバーに委ねられている。指揮命令系統ではなく、彼らが「力の輪」と呼ぶものを持つ。肩書きや地位は無関係だ。誰もが上司に疑問を投げかけ、アドバイスを無視して自ら解決策を見つけることができる。トヨタのCEO、豊田章男は、変化する世界で食らいつくために、複数のリーダーを持つことがいかに不可欠かを説明した。

たった一人で意思決定をしていたのでは、良い決断に至る無数の要素を考慮できるはずがない。あるいは、もう一人の賢いリーダーである鈴木敏文が言うように、会社には一組の目と一つの心だけでは不十分なのである。何千人もの人々が自分自身の判断を下せるようになれば、「目も心もずっと増える」と彼は言う。賢いリーダーは暗黙知を共有し、リーダーシップを分散させる。これが、予測不可能な未来においても生き残り、繁栄するための態勢を整えた賢い会社を築く助けとなるのだ。

最終的なまとめ

この要約の中心メッセージ:今日の混沌として絶えず変化する市場に立ち向かうために、賢い会社は形式知に頼るよりも、暗黙知にいっそう集中しなければならない。 リーダーは、自分自身の経験を理解し、顧客の立場に身を置き、会社と社会との関わりを理解することで、それを実行できる。 持続可能性を確かなものにするために、企業は利益の追求に加えて、社会のより良い発展を第一の関心事とすべきである。 最後に、将来のリーダーを育て、変化の激しい市場をうまく乗り切るために、分散型リーダーシップを実践することが重要である。

実践的なアドバイス:自社のミッション、ビジョン、価値観を改めて言葉にしてみよう。 あらゆる企業は、これら三つの問いかけから始めるべきだ。第一に、ミッション(目的)を理解するために「あなたの会社はなぜ存在するのか?」と問う。第二に、ビジョン(夢)を理解するために「あなたとチームはどんな未来を創り出したいのか?」と問う。第三に、価値観(信念)を理解するために「あなたとチームはどんな価値や信念に情熱を燃やしているのか?」と問う。これらの問いに答えることで、将来の意思決定に指針が与えられ、混乱のさなかにあっても正しい道を歩み続けることができる。

次に読むなら:『ジュガード・イノベーション』、ナビ・ラジュー、ジャイディープ・プラブ、シモーヌ・アフージャ著。日本企業の舞台裏に関心があれば、インドのCEOたちが何を考えているかにも興味が湧くだろう。ジュガード(Jugaad)は、イノベーションを意味するインドの言葉である。この要約では、このユニークな問題解決戦略が世界中のビジネスの運営方法をいかに変革しているかを発見できる。

Add Comment